2009/02/06

保護主義・反古主義?…歴史には常に「光」と「影」

年齢のせいか、このところ早起きだ。今朝も3時半に目が覚めた。自宅に居てもすることがないので会社に出てきたが、さすがにこの時間帯は静かである。

テレビのスイッチを入れ、しばしチャンネルをスキップ。これを業界用語で「ザッピング」と言うらしい。

NHKの衛星1チャンネルでは、世界の経済ニュースを英語で報じている。中身は良く分からないが、「パナソニック」や「ヒタチ」などの名前とともに「シュリンキング」という言葉がやたら耳に刺さる。

「シュリンク」とは「萎縮する」という意味だから、現在の日本経済が置かれた状況を的確に言い表しているのかも知れない。はて、このまま「不景気」が続けば、復讐を意味する「リベンジ」と同じような扱いとなるのだろうか。

〈景気対策のための鉄鋼素材は、しばらくは国内産に絞ろう〉 - 。就任後間もないオバマ政権が打ち出した「バイ・アメリカン・アクト」という一種の保護主義政策に対して、日本やEU諸国などが一斉に「ノー」の声を挙げた。

理由は明らかで、「今回の世界同時不況の発端はもともと、お前さんの所の経済政策の失敗ではないか」というもの。その背景には、昨年11月の「金融サミット」(G20)での合意事項がある。曰く「向こう1年間は保護主義につながるような、新たな貿易摩擦は避けよう」と。

もっと露骨に言うなら、「みんなで決めた事はきちんと守ってよ!!」ということだ。日本語では、約束を破ることを「反古(ほご)にする」という。語源は「書き損じ原稿」のことだ。

「反古」と「保護」。言葉遊びをしているつもりはないが、これほど流れが一致してしまうと、何とはなしに面白い。一夜明け、新大統領は余りの反響の大きさに「方針撤回」を表明。門外漢ながら、賢明な判断だと思う。

さて、その新大統領に期待されるのは、「ニューディール政策」の強力な推進者として語り継がれているルーズベルト大統領(32代)のような振る舞いだろうが、この点について、元読売新聞芸能部長の西島勇造氏が面白い指摘をしている(2日付・新聞案内人)。

同大統領が米国民の間で英雄視されているのに対し、前任のフーバー大統領は世界恐慌(1929年勃発)をさばききれなかった無能な政治家にされてしまっている、と。

ところが、日本人の立場からすると、ルーズベルトこそ、戦前の在米日本・日系人社会を奈落の底に突き落とした〃張本人〃だというのだ。氏によれば、彫刻家のイサム野口なども強制収容所に送られている。

一方のフーバー。これは初めて知ったことだが、脱脂粉乳に代表される敗戦後の日本の食糧危機を救ったのは他ならぬこの〃元大統領〃だった、と。やはり歴史には常に「光」と「影」があるのだ。