川越の街は〃大盛況〃…島原も負けずに仕掛けを!!
‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐
一昔前、タレントのタモリさんから「ダサイタマ」と揶揄された埼玉県だが、なかなかどうして最近は活躍しているようだ。
手始めは「さい」の字に「彩」を充て、「野暮ったい」イメージの払拭に取り組んだこと。その効果は徐々にだが、確実に現れてきているのではなかろうか。
昨報の秩父「羊山公園」(芝桜の名所)などもその好例の一つだと思うが、今年は特にNHK朝の連ドラの舞台に、「川越」が選ばれた。全国シンガリの登場だという。
秩父への視察ついでに、早速訪ねてみた。街のキャッチコピーは「小江戸」。その名の通り、街道沿いには、江戸の情緒をとどめた蔵造りの家並が目を引く。
それより何よりビックリしたのは人出の多さ。人口規模も33万強というから、それなりの中規模都市であるが、駅前の賑やかさは吉祥寺界隈、あるいはそれ以上か…。
たまたま休日(日曜日)だったせいもあろうが、やたら長い商店街モールは買い物客などでごった返し、威勢のよい呼び込みの声が響き渡っていた。
ドラマの舞台となる蔵の街は駅からかなり離れた地点にあったが、こちらは一目で〃観光客〃と判る人、人、人…の群れ。マスコミを使った集客力の凄さを、まざまざと見せつけられた瞬間だった。
ドラマの主人公は、今売り出し中の女性タレント、多部未華子さん。元宇宙飛行士の毛利衛さんと石油エネルギー関連のテレビCMに出ている、あの可愛らしい女の子だ。
設定では、主人公の実家は「甘玉堂」というお菓子屋さんだが、実際のロケ地は陶器店。いかにも、〃重厚〃という表現がピッタリとくる重々しい造りの老舗だった。
すぐ目の前の交差点の向こうには「時の鐘」と呼ばれる木造の鐘楼があり、こちらも写真撮影の客で賑わっていた。
年間の観光客数がどれくらいあるのか知らないが、先年訪れた大分県豊後高田市の「昭和の町」など、とても足元にも及ばない活況ぶりだった。
さて、ひるがえって我が島原。伝統ある武家屋敷も、街並みも、「全国名水百選」の湧水もある。なのに…。首都圏を控えた交通の要衝と比較するのはちと酷ではあるが、余りもの彼我の違いに、やはり寂しいものを禁じえない。
ただ言えることは、秩父も、川越も、豊後高田も、最初から多くの観光客を集めていたわけではない。何かしらの〃仕掛け〃があって始まった街づくりだ。
長崎新聞に時々コラムを寄せられている前長崎総科大教授の市原実さん(山梨県立大教授)が以前、「千葉・勝浦の雛祭り」の話をされていたが、テレビで眺めるその「規模」と「集中ぶり」に、つい愚痴の一つもこぼしたくなる〃島原の静けさ〃である。
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