2009/03/10

正義が国を亡ぼす!?…「ついきゅう」の使い分け

‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

島原市議会3月定例会の市政一般質問が先週から始まった。今週も11人が壇上及び自席から、発足後間もない横田市政の政策について質(ただ)す。その模様はケーブルテレビ2社で生中継されているほか、地域のコミュニティFM放送でも聴くことができる。

加えて、カボチャテレビでは、インターネット回線を使って全国へ向けリアルタイムで発信している。その意味では、これほどまでに「情報公開」が徹底されている地方議会も珍しいのではないか。

一方の活字メディア。ちょっと見ではいささか「後追い報道」の感がしないでもないが、「じっくり検証する」という意味では、これに勝るものはない。多くの読者の方も、その点に「共感」を抱いて下さっていることだと思う。

商売柄、昼夜を問わず色んな立場の方々から「お叱り」や「励まし」をいただく機会も多い。それらは直接「我が社」に向けられる場合もあるし、或いは奇特な行為への「共鳴」であったり、世の理不尽な動きに対する「怒り」であったりもする。

先般、トップバッターで質問に立ったN議員から「7日付の『読者クラブ』で書かれていた内容が、私に向けられたものではないかとの心配の電話が支持者から相次いでいる」という電話をもらった。

当日のテレビ放映や質問要旨を掲載した紙面などをご覧になっていただければ、投書の主が、N議員のことを言っているのではないということは明らかなのだが、それだけでは「収まり」がつかないのだろう。

実は当日、中継をご覧になっていたかなりの数の視聴者の方から「失礼極まる質問ではないか」「なんだ、あの傲慢な態度は」などとする批判の声が某議員に対して寄せられていた。

恐らく、投書をされた方も同じ思いを抱いて筆を執られたことだと思う。ただ、たまたまの偶然ではあるが、その掲載日がN議員の質問載録日と重なったため、あらぬ「誤解」が生じてしまったのだろう。

さて、世を挙げての「漢字ブーム」である。よく大学入試などで見かける書き取り問題に「ついきゅう」というのがある。

大まかに言って、「ついきゅう」という漢字には3通りある。1つは「追求」。理想や利潤、幸福などを、文字通り追い求めること。これに対して、2番目の「追究」は真理や原因などを明らかにしようとする際に用いられる表現だ。

3番目が「追及」。新聞では、主として刑事事件等を扱った社会面で多く見受けられる。週刊誌も然りで、余罪や責任等を厳しく糾弾する時などの用語だ。

ひとり言論界に限らず、世の中はこの3つの「ついきゅう」を賢く使い分ける必要がある。でなければ、山本夏彦翁が生前杞憂されていたように「正義が国を亡ぼす」ことにも繋がりかねない。