2009/03/15

季節外れの春の雪…「年度賀状」はいかが!?

‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

ヒュー、ガタッ、ゴトッ。今朝は、夜来の雨風による〃物音〃に身体を揺すられるような気がして、目が覚めた。

カーテンの隙間の向こうにまだ明かりは見えない。寝ぼけまなこでテレビのスイッチを入れたら、「こんな表現はありませんが、『春二番』と言ってもいいでしょう」。

典型的なお茶の間向けの男性アナが天気図をもとに、ちょっとした〃春の異変〃を興奮気味に伝えていた。氏によれば、九州地方の桜の開花日は例年より1週間ほど早まって、3月20日頃だという。

毎年この時期になると、「年度賀状(?)でも出してみようか」などと思うことがある。まったくもって個人的な〃造語〃であるが、卒業、入学、転勤などと、人生の節目は正月よりもむしろこの時期だ。

手帳も正月始まりに対して、4月始まりもあるくらいだから、さして〃違和感〃もあるまいと思うのだが…。

こんなことを書けば、「お前さんは郵便局の回し者かい」と揶揄(やゆ)されてしまいそうだが、葉書にせよ手紙にせよ、やはり〃便り〃というのは、有難いものだ。

昨年末のお歳暮で、とある印刷会社の方から「山頭火五三句・週めくり葉書カレンダー」なるものを頂戴した。1週ごとに、山頭火の句と解説が挿し絵入りで紹介されている。

例えば、3月第1週の句 - 〈南無地蔵尊 こどもらがあげる藪椿〉。昭和8年3月5日に詠まれた作品で、解説には「周囲の援助で句誌の発送を終え、安堵した様子」とある。

「藪椿」と言えば、宮崎康平先生が大好きだった花として知られるが、月日の経つのは早いもので、今年は28回目の「康平忌」である。筆者も拙稿を書き終え次第に列席するつもりでいるのだが、なかなか仕上がらなくて、気ばかり焦っている。

「頭ん悪かくせに、サボってばかりおるけん、そがんあっと。こんバーカモンが!!」 - 。先生お得意のポーズが目に浮かんでくるようだ。

再び山頭火に戻って、3月第2週 - 〈あんたが泊まってくれて春の雪〉。解説によれば、同年3月12日の作品。友人2人としたたかに酔っ払って、うち1人が庵に泊まっていった。ほのぼのとした〃友情〃のありようが偲ばれる。

そう、今日は「春の雪」だ。朝起きて、国交省雲仙復興事務所の「はっとほっとチャンネル」を見ていたら、なんと平成新山の峰が真っ白。南国3月に雪の洗礼。前出の「藪椿」と引っかけて、これぞまさしく「春の椿事」。

突風が吹き荒れ、季節外れの雪が降り、桜の開花は早まる…。予測のつかない有為転変の人生。せめて、年度の挨拶代わり友人に「近況報告」をしておくのも悪くはない。