2009/04/01

テレビ時代は終焉!?…ネット通じて多くの読者

‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

事務所の入口ドアを開けようと思ったら、何やらコピー用紙がヒラヒラ。本コラムをどんな機関の人々がネットを通じて読んでいるかをまとめた「全国アクセス一覧」であった。

それは、弊社のネット担当者が「500回記念に」と、気を利かせて貼ってくれていたもの。本紙の読者以外でもこんなに多くの方々の目に触れているのかと思うと、嬉しくもあり、同時に恐くもある。

内訳をみると、いずれも名の通った学術機関やメーカー、官公庁などがキラ星のように並ぶ。と言うより、皆さん、情報集めに必死になられている様子が良くうかがえる。

いささか旧聞に属するが、先日、NHKテレビで、放送文化の未来を論じる「特別番組」があり、業界の末席を穢す者の一人として、大変に興味深く拝見させていただいた。

テレビ会社は今どこも「不況の波」に呑み込まれている。加えて、莫大な投資を伴う「デジタル化」の問題が暗い影を落とす。

これまでであれば、自動車やカメラなどといった好業種のCM収入で簡単に乗り切れられたところだろうが、何せ「百年に一度」の大不況。そうは簡単に問屋も卸すはずがない。

そうした〃目線〃で各局のチャンネル編成を眺めていると、最近はやたらと主催事業のイベント紹介や「番宣番組」が多い。正直、辟易するくらいだ。

恐らく関係者にとっては、50年前後の歴史の中で初めて味わう〃危機感〃であろう。ただ、翻って考えてみれば、1つの業種だけがいつまでも天下を取っているような事態がいつまでも続くわけがない。

「糸偏」の業界が栄華を極めた時代もあったし、「鉄は国家なり」とうそぶいた輩もいた。また、「砂糖」や「石炭」が幅をきかせた世の中も出現した。

テレビ文化を日本に根付かせたのは、讀賣新聞元社主の故・正力松太郎氏だと言われている。

古くは力道山のプロレス中継、プロ野球。そして何よりも「テレビ時代」の到来を印象付けたのは、昭和34年の皇太子&美智子様の「ご成婚」である。

筆者も周囲の友人知己も「テレビ」とともに幼少期を過ごし、大人になった。今でも当時のアニメソングはきちんと諳んじているくらいだから、よほど熱心に観ていたのだろう。

その「テレビ」に今〃異変〃が起きている。先のNHKの番組では、「このまま放ってはおけない」という業界全体の〃焦燥感〃の裏返しでもあった。そんな気がする。

ネットの出現によって世の中は激変した。決して誇張ではなく、もはや「テレビ一人勝ち」の時代は、確実に終焉した。

「TBS - 楽天」の主導権争いは一見〃痛み分け〃の様相だが、まだまだ「せめぎあい」は「つ・づ・く」のである。