2009/05/25

素晴らしかった五島…新聞の配達時間は遅いが

‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

ここ数日サボってしまったので、今朝は早起きして拙稿に向かっている。まだ日の出には随分と間がある。そう言えば、曽野綾子さんの随筆に『夜明け前の新聞の匂い』という作品があった。

もうだいぶ前に書かれたもので、あらかたその中身は忘れてしまったが、世の事象に対する独特の切り口に、やたらと感心した覚えがある。

昨日、一昨日とケーブルテレビ業界の会議があって、五島市に出張していた。携帯パソコンを持参していたのだが、懇親会、二次会、三次会…と続いて、ついぞ開く機会を逸してしまっていた。

なぜ唐突に『夜明け前の - 』を持ち出したかというと、彼の地においては新聞が配達されるのが、かなり遅い時間帯である。恐らく壱岐、対馬あたりでも事情は同じであろう。

ホテルのロビーで時間をつぶすこと約1時間。ようやく目にすることができたのは8時近くであった。

同じようなタイムラグを感じたのは、今から30年ほど前に最初に沖縄へ出張した時。ただし、それは週刊誌の店頭販売に関して。今ではどうなっているか知らないが、首都圏と比較すると確実に3日は遅れていたのではなかろうか。

ところが、島嶼部(とうしょぶ)の人々にとっては、それくらいの違いは全く関係がなさそうだ。とにかく、ゆったりと時間が流れていた(今ではどうか知らないが…)。

都市部で暮らす大半サラリーマンや学生にとっては、好むと好まざるとに関わらず、電車に乗る行為は必須である。10数両もあるその車内には、端から端まで「中吊り広告」が張りめぐらされている。

多くは「今日発売の週刊誌」や「観光地案内」の類いであるが、見方を変えれば、これらは貴重な「情報源」なのである。したがって、都会の人々はある意味〃物知り〃だ。

ただし、その「知識」の程はあくまでも表層的であって、ましてや「知恵」の段階まで昇華(しょうか)出来ている人は、古今を問わず余りおるまい。勿論、筆者もである。

再び「五島」の話に戻るが、宿泊先のコンカナ王国というのは、いささか人工美に流れるきらいは感じられたものの、細部まで気配りが窺える素晴らしい施設であった。

中でも気に入ったのは温泉。たまたま民放テレビの中継日だったせいもあろうが、手入れの行き届いた露天風呂には十分に満足した次第。朝食のバイキング料理でいただいた「地産地消」のメニュー(特に牛乳)も最高だった。

旅人の視線で見れば、これは相当「満足度」が高いだろうなあ、と実感すると同時に、滅多に泊まる機会がない島原半島の「実態」が少しだけ気になった。

と、ここまで書いているうちに東の空が白み出した。しっかりと朝刊各紙も配達されているようだ。