まーだ1番になるな!?…渡辺先生「ちょっといい話」
‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐
この季節、出張や雨降りにかまけて、つい怠けてしまいがちな花壇の手入れだが、我が社の若手社員は留守中も良く面倒を見てくれているようだ。感心!!
花と対峙していると、色んな考えが浮かんでは消える。買ってくるのは大抵1苗50円前後の「安物」だが、これにも随分と「当たり」「外れ」があるものだ。
ある苗は、植えた当座は元気がないが、見る間に大きく育ったりする。逆に、なかなか勢いが出せないのもいる。育てていて一番嬉しいのは、萎れかかっていた苗が元気を取り戻して、花を咲かせた時だ。
以前、元国見町長の渡辺秀孝さんから聞いた「ちょっといい話」。渡辺さんは剣道、相撲、ラグビーと何でもこなす〃武闘派〃の体育教師だったが、人一倍の〃人情家〃でもある。
若かりし頃、北目のある小学校に、体育の授業にもほとんど参加できない体の弱い女の子がいて、担任を受け持っていた。ある時、みんなで普賢岳登山をする話が持ち上がった。
で、渡辺さんが取った行動は - 。これはクイズでもなんでもない「実話」なのだが、渡辺さんはその女の子を荒縄でおぶって登ったというのだ。
一度でも普賢岳に登ったことのある人なら、その道中がいかに急峻であるかお分かりだろう。我が身一つでも大変なのに、いかに虚弱な小学生とはいえ、通常のリュックの重さとは比較にはなるまい。
それでも渡辺さんは登った。ただ、最終最後の難関を残して - 。「ここまではオイと一緒に来た。後は自分の足で登ってみろ!!」。その言葉に勇気づけられた女の子は、一歩一歩を踏みしめながら、ついには頂上を制覇した、という。
拙文を書きながらも、若き青年教師の晴れやかな表情とともに、クラス全員が大喜びしている様子が目に浮かんでくるようだ。ビバ、ヒデタカヤン!!
渡辺さんによると、あれから何十年が経った今でも、同窓会などがあるとその女の子(今では立派なオバサン)は真っ先に抱きついてくるそうだ。
そう、育つという過程においては、「人間」も「花」もさして変わりはない。最初は優秀で元気が良くても、いつしかその「精気」を失くしてしまう者もいる。原因は、親をはじめとした周囲の「理解」や「愛情」が不足していることかも知れない。
そんなこんなを考えながら、先日、三男坊と一緒に朝飯を食べていたら、「今日は試験だ」という。「おーそうか」と答えた後で、「いいか、人間は遅咲きが本物だ。絶対にまーだ1番なんかになるなよ!?」と、アドバイスを送った。
すると、三男は「分かりました、お父様」とニヤリ。その後はやけに自信たっぷりの表情で出掛けて行ったが、まさか…?世の中、これを指して「杞憂」と言うらしい。
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