2009/06/19

天草は一衣帯水の地…近々「街の駅」を開設!!

‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

『駅』と言えば、脚本・倉本聰、監督・降旗康男で、高倉健が主役の警察官(射撃の元オリンピック選手)を演じた東宝映画の名作。1981年作。

〈お酒はぬるめの燗がいい、肴はあぶったイカでいい♪〉。作詞・阿久悠、作曲・浜圭介のゴールデンコンビによって誕生して劇中で歌われた、八代亜紀の『舟唄』は大ヒットした。

あれからもう30年近くの歳月が流れようとしているのか…。個人的には、今から7年ほど前、天草の学校の体育館に、降旗&高倉の両雄を招いて開かれた『蛍』(東映)の特別上映会のことを思い出す。

先般、ジオパーク関連の会議が東京であって、当時の本渡市長だった安田公寛(きみひろ)さん=現天草市長=を久方ぶりに見かけた。折角の機会だからと、恐る恐る名刺を差し出して「当時の話」を投げかけたら、「そうでしたか。これからは一緒になって頑張りましょう!!」と、いたく共感してくれた。

映画の企画は、古里から映画館が消えることに危機感を覚えた一人の若者が、周囲の関係者に協力を呼びかけて実現したもの。同市長によれば、今でもその若者は必死で頑張っており、女優の宮沢りえも応援に駆け付けてくれた、とか。

さらに驚くべきは、今をときめくアカデミー賞の受賞作品『おくりびと』の脚本を手がけた小山薫堂(オレンジ・アンド・パートナーズ代表)が本渡市の出身で、その映画館のすぐ脇に生家がある、という。

小山に関しては、最近ではテレビの経済番組等でも取り上げられているように、活躍の場は芸能界だけにとどまっていない。日光の名門「金谷ホテル」の再生担当の顧問としても注目を集めている、という。

こうした「天草人」の活躍を耳にするたびに、翻って「我が島原半島は…」などと、つい悲嘆にくれそうにもなるが、何も諦める必要もあるまい。意志あるところに道あり、だ。

古の昔より、両地域は「一衣帯水」の関係にあったはず。ところが、筆者の感じるところ、最近ではややその関係が希薄になっていたのでは…。以前は、スポーツ大会等の「交流」もかなり盛んだったような気もする。

やはり、三角航路がなくなってしまったことの影響は大きい。ただ、口之津と鬼池を結ぶ島鉄フェリーが今でもその命脈をしっかりと保ち続けており、沿線の「イルカ・ウォッチング」も人気だ。

安田市長もそのことに意を強くしている様子で「鬼池港の整備も間もなく始まります」と相好をくずしていた。

『駅』から『港』まで随分と話が飛んでしまったが、双方とも「交通の接続機関」であると同時に「情報発信基地」である。弊社も近々『街の駅』なるものを始めようと考えている。随分と「回り道」をしてしまったが。 - 文中敬称略 -