鎌田さん〃怒り〃の新刊…紫陽花の美しさいま改めて…
‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐
斯界の大先輩であるルポライターの鎌田慧さんから新刊書をご恵贈いただいた。大月書店発行の『いま、逆攻のとき - 使い捨て社会を越える - 』という作品だ。1,575円。
最初に鎌田さんと会ったのは今から18年前の噴火災害の直後。酒場だった。たまたま朝日新聞社に共通の知人がいて、いっぺんに打ち解けあった。
週刊誌(確か文春)で何度か氏の作品を読んでいたこともあったので、背伸びして議論に挑んだのだが「キャリアが違うよ」と、笑いながら軽くいなされた。
ただ、そうは言われても「不思議な感覚」と言うか、馬鹿にされた思いは微塵も抱かなかった。かえって「益々ファンになった」というのが率直な印象であった。
鎌田さんの名を一躍世に知らしめたのは、トヨタの工場で働く季節労働者の実態を暴いた『自動車絶望工場』(講談社文庫)。企業側の身勝手な論理で「派遣切り」が横行している現代の世相を、あたかも先取りしたかのような歴史に残る一作である。
常に「弱いもの」の立場で社会の問題点を抉り取る一貫した「反骨」の姿勢はデビュー以来変わりなく、筆者などはその文章に触れるたびに「冷や汗」を覚える。
本書でも、その鎌田イズムはいかんなく発揮されており、頁をめくるのが恐いくらいだ。『反貧困ネットワーク』事務局長の湯浅誠さんやノンフィクション作家、川田文子さんとの対談も収蔵されている。是非ご一読を!!
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「最近の天気予報はよく外れる」などと言われるが、今回の梅雨入りはバッチリ当たった。
一昨日だったか、久しぶりに早目に帰宅してNHKの7時のニュースを観ていたら、ダイエットに成功した若き日の朝丘雪路のようなお天気お姉さん(気象予報士)が、身体を前後に揺すりながらそう予想していたからだ。
「梅雨」というと、やはり「アジサイ」(紫陽花)である。拙宅の庭でもなかなか見事な大輪の花を開かせているが、母に聞くと、親戚の亡くなったお婆ちゃんから頂いたものを「挿し木」にして育てたものだそうだ。
長男がまだ小さい頃だったというから、かれこれもう20年の歳月が流れようとしている。まさに「年々歳々 - 」の世界である。
雨に打たれたアジサイ花の美しさは、また格別である。ひっそりと、けな気で、薄幸の雰囲気すら漂う。かと言って、華やかさも欠けてはいない。
ただ、忘れてならないのは「冬のアジサイ」の様相である。すっかりと葉を落とした裸木の寒々しさの対極に、今の美しさがあるのだ。
そうした思いで改めて眺め直してみれば、なお味わい深い花である。
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