蛇の目傘は元禄より…辞書を引けば「目から鱗」
‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐
午前中、野暮用で小浜まで走って、昼食に「蛇の目」(食堂)の「チャンポン」をご馳走になった。正確には、「スープ麺」と言うべきか。
今では雲仙市のテコ入れもあってすっかり有名になりつつある「小浜チャンポン」だが、「蛇の目」のチャンポンは昔から有名であった。少なくとも筆者の知る限りでは。
ところでこの季節、思い浮かんでくるのは、「チャンポン」と言うよりは「蛇の目傘」の方であろう。最近ではすっかり見かけなくなってしまったが、どうしてそんな名前が付いたのか、前々から素朴な疑問であった。
有体に言えば、傘の形状が「大蛇の目」のように見えたからであろうが、生来の「ヘビ嫌い」である我が身にとっては、たとえそれが傘であろうとも一大事なのである。とにかく辞書を引いてみよう。
【広辞苑第四版】によれば、「蛇の目傘」の意味については、次のように記されている - 。
『中心部と周辺とを黒・紺・赤色などに塗り、中を白くして、蛇の目の形を表した傘。黒蛇の目、渋蛇の目、奴(やっこ)蛇の目などがある。元禄時代から使用』と。
なるほど、勉強になった。と言うより、これまでは油紙が貼られている「和傘」くらいのイメージしか持っていなかった己の不明を恥じた。
〈♪あめあめ ふれふれ かあさんが じゃのめで おむかい うれしいな ピッチピッチ チャプチャプ ランランラン♪〉
ご存じ童謡『あめふり』(北原白秋作詞、中山晋平作曲)の冒頭部分だが、今でも梅雨シーズンになると、つい口ずさんでしまう。年譜を見ると、大正14年作とあるから、この歌の年齢は、旧制島原中学校第40回卒の「望洋会」の皆さんと同級生だ。
やっぱり優れた作品は時間が経っても色褪せることなく輝いていることの証しだ、と思う。読者の皆さんも全然「古さ」を感じないでしょう!!
「蛇の目」の話が出たついでに、前々から気になっていた言葉について調べてみた。それは「目から鱗」という表現だ。
よくマジシャンなんかが口からトランプを出すシーンは目にしたことがあるが、目から鱗なんかが飛び出てきたら大変なのでは?と要らぬ心配をしていたが、これは完全に筆者の勘違いであった。
正確には『目から鱗が落ちる』という表現で、『あることをきっかけとして、急にものごとの真相や本質が分かるようになる』という意味だった。
これで今日はまた一つ賢くなったぞ。そう、こまめに辞書を引くことで、目から鱗は落ちるんだ!?
そう言えば、ベストセラー『1Q84』の作者である村上春樹さん(小説家)の趣味は、暇にまかせて辞書を読むことだった。
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