キャスティングボード?…恥ずかしながら、また勘違い
‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐
これまでの沢山の「勘違い」(過ち)をしてきたが、また一つ愚かなる自分に気付いた。この時期、他でもない選挙戦での「キャスティング『ボート』」のこと。
ある意味「恥さらし」ということになるが、これまではてっきり「キャスティング『ボード』」とばかり思い込んでいた。
その間違いに気付いたのは、著書『悩む力』がベストセラーとなった、東京大学大学院情報学環教授の姜尚央(カン・サンジュン)さんのコラム(アエラ誌8月24日号掲載)を読んだことから。
「ボート」と「ボード」。英語で表記すると、「VOTE」と「BOARD」。邦訳すれば、前者が「投票」、後者が「板」で、明らかに違った意味だ。
言い訳がましいが、これまで筆者は、可否同数の際に使われる「最終の決定権者の意向を書き込んだ板状の物体」をイメージしていたのだ。嗚呼、恥ずかしい。何を「ボーっと」していたのだろう…。
姜さんは我が国における著名な政治学者の一人でありながら、国籍がないばかりに参政権(投票権)がない、という。だからこそ余計に「キャスティングボートを発揮せよ!!」と呼びかけている。
ところで「ボート」と言えば、英語で「買う」という意味の「BUY」の過去形が「BOUGHT」である。つまりは「買った」という意味だ。
最近では余りに耳にすることはなくなったが、かつて島原半島のとある地域では、「一票の買い取り」(買収)が白昼堂々と行われていた、という。
これなどは極端な「作り話」の類いだろうが、ある老婦人が投票所に出かけて、イザ!投票用紙を受け取ろうとした際に、係員にこう語り語りかけたのだそうだ。「スミマセン、まだ私は『お金』を受け取っていないのですけど…」と。
まあ、これなどは救いようのない「風土病」の一種だろうが、「救う」と言えば、「救命『船』」を意味する「ボート」(BOAT)というものもある。英語での発音記号はまったく異なるが…。
これから迎える選挙終盤戦に向け、必ず各候補者ともこう絶叫するだろう。「どうか私を助けて下さい!!」と。
これなどは「私に投票して下さい!!」という意味にも取れるし、「溺れかかっている私に、どうぞ救命船を差し向けて下さい!!」とも取れる。
大事な、大事な国政選挙を肴(さかな)に、何ともくだらない「言葉遊び」をしてしまって恐縮だが、「政治」は取りも直さず「言論」である。
候補者それぞれが、所属政党なり、自分の所信なりを「言葉」で語るのを、一言隻句なりとも聞き逃してならない。皆さん、筆者みたいに「ボーっと」していてはダメですよ!!
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