2009/09/17

安心院は鏝絵(こてえ)で町づくり…『家裁の人』の原作者と遭遇

‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

『ヒデクニとレヴィンからの伝言』と題された追悼コンサート(12日夜)の会場は、鉄輪温泉街のど真ん中にある「冨士屋ギャラリー」。歴史のある日本旅館を今風にアレンジした、瀟洒な建物だった。

ここで言う『レヴィン』とは、鎌倉在住で、交通事故に遭って26歳の若さで亡くなった詩人の高木昌宣さんのペンネーム。もちろん『ヒデクニ』は島原市出身で、多くの別府市民から愛された不思議アーティスト池上栄邦さん(旧姓・永ノ尾)のことだ。

約百人の聴衆を前に素敵な歌声を披露してくれたのは、川崎からやって来た盧佳世(の・かよ)さん。歌そのものも素晴らしかったが、端正な顔立ちで、スタイルも抜群であった。

池上未亡人に誘われるままに(何か淫靡な響き…)、多くのヒデクニ作品を保管して下さっている近くの民家にお邪魔した。主は小学校の先生で、ワインに車に…と、なかなか多趣味の人らしい。

二次会がスタート。最初はビールから始まって、続いて日本酒。そのうち盧さんやバンドのメンバーも加わって、いつの間にやら〃大宴会〃の様相。

と、一人の長髪男性がギターを持ち出して歌い始めた。カッコいい!誰だろうと訝っていたら、島原と兄弟都市の豊後高田から来た、という。

歌を聴いているうちに〃正体〃が判った。テレビドラマともなった漫画『家裁の人』の原作者、毛利甚八さんだった。聞けば、佐世保西高出身だと言うから、ボクらと同じ〃長崎県人〃だ。年齢は筆者より3歳年下であった。

頃合いを見計らって退席させていただいたが、高台から眺める別府湾の夜景の素晴らしさ!海の向こうに見えるのは県都・大分市の街明かりだった。

一夜明け、ホテル屋上にある露天風呂を満喫。早朝のせいか誰もいない。いわゆる〃貸切風呂〃の醍醐味を思う存分味わってきた。ヒデクニさん有難う!

朝食はホテルで摂らず、前日に予約していた町中の食堂へと出かけた。店では数人のオバちゃんたちがせわしなく働いていた。おはぎの餡子が山盛りにされた傍らでは、栗おこわのパック詰め。

「悪いけど、お茶は自分たちで淹(い)れて」。「ハイよ」といった具合で楽しい朝餉(げ)の時間はあっという間に過ぎ去った。それにしても味噌汁の美味かったこと。芝居のポスターが沢山貼られていたから、恐らく旅役者の皆さんも常連客であろう。

この日の訪問先は、鏝絵(こてえ)で有名な宇佐市・安心院町。案内をして下さったのは「道の駅」ならぬ「里の駅」(大繁盛!)を経営されている社長さんで、奥様共々大変にお世話になった。

帰途、高速を降りて日田市・大山村にも立ち寄ったのだが、こちらの賑わいぶりも凄かった。我が島原半島には〃何が〃足りないのだろう? 

‐つづく‐