2009/10/20

素直でないんだから…秋は人間を〃センチ〃にする

‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

旧知の浅賀俊策大兄(長崎市在住)が「『(くんちの)3日間の行事が終わると秋』というのが〃長崎っ子〃の季節感です」と、先日の長崎新聞のコラム欄(うず潮)で書かれていた。さしずめ〃島原っ子〃にとっては、「不知火まつり」がそれに相当しよう。

島原も、もうすっかり秋である。眉山の山腹でも、幾らか赤みを帯び始めた木々の塊がそこかしこに確認できるようになった。恐らく、ハゼの類いか。

そんな中、巷の喧騒(パレード)を避けて、独り北目の街道を歩くことにした。別段、今流行りの「龍馬の道」を意識したわけでもなく、ただ単に運動不足の鈍った身体と精神を引き締めるため、という勝手な〃理屈〃を付けて - 。

いつもそうだった。高校3年生の「体育祭」の時も…。みんなで楽しく「フォークダンス」を踊っている姿が疎ましくて、そっと輪の中から抜け出た。

仲間が2人いた。1人は政治の道を進み、1人は内科医として活躍中だ。今にして思うに、3人とも〃素直〃でなかった。否、それぞれに〃牽制〃しすぎてしまった愚かな結末だった、のかも知れない。

そんな遠い日のほろ苦い思い出を胸に、黙々と歩を進めた。上の町の自宅を出て、最初の休憩地は大三東のコンビニ店。そこまでちょうど1時間20分。距離に直すと、7キロくらいか。

一服して再出発。途中、携帯電話の着信履歴を確認すると、大分・宇佐市へ視察ツアーに出かけている途中の島原薬草会代表理事の阿南達也さんからメッセージが届いていた。

「今日はどちらへ?車に気を付けてね!」。阿南さんらしい〃心遣い〃に、一瞬涙ぐみそうになった。やはり秋という季節は人間をセンチメンタルにする(センチメートルではないですよ!!)。

丸政水産本社を過ぎた辺りで、次なる目的地を「多比良」にするか「神代」にするかで迷った。前者なら1時間。後者なら2時間の距離…。エーイ成り行きまかせだ、と思いながら歩き続けたのだが、急速に腹具合が…。

サラダ館を過ぎて旧道に入ったが、役立ちそうな施設はない。事態は切迫してくる。それでも我慢に我慢を重ねて、何とか多比良駅まで辿り着き、駅舎奥のトイレに飛び込んだ。

が、今度は紙がない。仕方がないので、さらに勇気を振り絞って、近くの集合店舗を目指す。残り30メートルの地点まで漕ぎ着けた所で、事もあろうに車に乗った知人が悠長に語りかけてくるではないか。

「何しよんですか?乗らっさんですか?」。〈頼む、お願いだから話し掛けんで!〉と思いながらも、口には出せない。

力なく笑い返しながら「とにかく急いでいるんで!」と言い残してその場を切り抜けた。良かった!助かった!  

‐つづく‐