2009/10/27

老化防止の生薬は?…世を挙げての健康志向だが

‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

「秋の日はつるべ落とし」と言うが、本当にそうだ。アレヨ、アレヨ…という間に、夜の帳(とばり)が降りてくる。一方で、夜明けの到来がいかにも遅い。もうすっかり目覚めているというのに、東の空はまだ薄暗いままだ。


それもこれも季節の為せるワザではあるが、若い頃には少しも感じることがなかった感慨だ。最近、とみに〃老化〃が進んだように思う。何かこう、身体全体が〃油切れ〃しているような感じなのだ。

こんな年寄りじみたことを書けば、「何ば言いよっとか、そがん脂ぎっとてから」などと笑われてしまいそうだが、特に骨の軋みが「ゴキッ、ゴキッ」とひどいのだ。そろそろ〃皇潤世代〃だろうか?

テレビ、新聞、雑誌を問わず、最近は「健康食品」や「痩せ薬」「強壮剤」の広告だらけだ。別段、気にしているわけではないが、つい目が行ってしまう。

少し前に大学時代の同窓会があって、或る女性とおよそ30年ぶりに邂逅(かいこう)した。当初、彼女は筆者が誰であるか気付かなかった。

学部ごとに仕切られたテーブルを挟んで、胸の名札をチラチラ眺めながらの確認作業。そのうちに、「オー、お前さんだったか!」の声がそこかしこから沸き上る。いつもながらの同窓会風景だ。

だが、彼女は閉会の寸前まで、筆者の人物特定に迷った、という。裏返して言えば、それほどまでに〃肥ってしまった〃ということの証しであるが…。

「折角の機会だから」ということで、場所を変えて「二次会」が開かれた。改めて出席者の顔を見つめ直してみると、皆それぞれに年をくっている。件の彼女も独身ながら、すっかりオバさんの雰囲気だ。

改めて名刺交換が始まった。文学部だけに出世した奴は余りいない。唯一大手出版社の編集長がいるくらいだ。

彼女が「最後の1枚」と言って名刺をくれた。と、そこには〃ED特効薬〃として一世を風靡した、かの有名なドイツの製薬会社の名前が刷り込まれているではないか!?

意を決して、恐る恐る尋ねてみた。「あのー、お宅の会社っていうのは、ブルーの錠剤を扱っている所だよね…」。

彼女は「またか」といったといった表情で「そうよ」と答えたが、「それだけではないからね」と二の矢を継ぐのも忘れなかった。

世を挙げての健康志向ブーム。疲れたオジさんも、オバさんも、もっと美しくなりたいと願う若者も、総じて〃クスリ&サプリ漬け〃のようだが、こんな風潮、どこかおかしい。

島原には「日本三大薬園」の一つもある。何かこう、20歳ほど若返ることが出来るような〃生薬〃はないものでしょうかね、村上光太郎教授?