2009/12/09

エッ「ぎょうせい」が!?…不況にさらされる出版業界

‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

雑誌を定期購読していると、この時節は切り替え作業の真っ只中らしく、何度も何度も「契約更改」の書類が送ってくる。みんな〃必死〃なんだ、と改めて実感する今日この頃。

現在、筆者が定期購読をしているのは週刊、月刊、季刊合わせて5、6冊程度。発売日を待ちかねたようによく読む本もあれば、そのまま〃積読〃というのもある。

〃積読〃の代表格は米週刊誌「TIME」。曲がりなりにも英文学科を出ているので、辞書さえあれば全く読めないこともないのだが、いかんせん「字」が小さすぎて(言い訳…)。

ただ、表紙の装丁や記事全体のレイアウト、イラストなどは、さすがに洗練されている、と思う。しかしながら「投資対効果」を考えて、来年度は「しばし、タイム!」(鬼ごっこなどで昔よく使った「休み」の意)としよう。

その他については今のところ「継続」の予定でいるのだが、最近は3人の息子たちの教育費もバカにならなくなってきた。おかげで、人一倍短いスネは細まるばかり。加えて、上半身(メタボ)の体重をどう支えていけばいいのか、思案に暮れている。

ところで、今の世の中は「かつてない出版不況」と言われているが、全く場違いなCATV業界の会議の席で「その実態」と遭遇した。正確に言えば、「その情報」にふれた。

長野県諏訪市にある「LCV」と、関連会社の「倉敷ケーブル」(岡山県)の経営権が、東海地方の某大手ケーブル局に買収された、というのだ。

この話を聞いた時は、誇張なんかでなく本当にビックリした。「LCV」と言えば、CATV業界の老舗中の老舗で、10年近く前に九州連盟支部の仲間と一緒に視察したこともある。

一方、後者は「倉敷方式」と呼ばれる独特の経営手法で、中国地方では屈指の営業成績を収めていた優良企業。

筆者もこの夏、ある人物の紹介で訪問したのだが、約7億円を投じて完成したばかりの新社屋(耐震構造)は眩いばかりで、NHKの倉敷放送局も間借りで入っているほど。

それがまたどうして、と一瞬我が耳を疑ったが、親会社の「ぎょうせい」が折からの出版不況のため、一斉に売却したのだ、と聞いて合点がいった。定かではないが売却額は60億円だったとか…。

「ぎょうせい」と言えば、「講談社」や「小学館」「集英社」などには及ばないものの、税や法律、地方自治関連の本や「フォーブス」の日本版を出版している名門の出版社である。

まさしく「出版不況もここまで来たか…」という感じでいるところに、「契約継続」を求める〃矢の催促〃。やせ細った財布の中身を見ながら「タッ、タイム!」と訴えなければならない我が身にも、決して他人事ではない。