恨みに報いるに…もう止めよう「負の連鎖」
‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐
景気とカレンダーは比例するとよく言われるが、確かにその通りなのだろう。今年は送ってくるカレンダーの〃出足〃がいつになく鈍いような気がする。
大晦日まではまだ十日ほど残しているので、最終的にはどうなるか判らないが、日本全体の景気の動向を見る限り、余り期待はできないような〃雲行き〃だ。
現在、筆者の机回りに飾ってあるのは、壁掛け式が映画『まぼろしの邪馬台国』編と日本航空(JAL)の2種類。ほかにスタンド式が3種類あるが、念入りに眺めたことはない。
JALで思い出したが、昔は子会社に台湾専用の「日本アジア航空」という路線があって、そこのカレンダーが群を抜いて素晴らしかった(今でもあったらゴメンナサイ…)。
テーマはいつも台北の「故宮博物館」の収蔵品だった。同館には筆者も幾度となく足を運んだことがあるが、通常のツアー見学では、とてもとても時間が足りるものではなかった。
もう随分と昔の話だが、どの現地ガイドも「国民党軍が台湾に渡って来る時に、選りすぐりの宝物を運んで来たんですよ!」と、胸を張っていたことを憶い出す。
今でもその言葉に決して〃嘘〃はなかった、と信じている。それほどまでに素晴らしい展示内容だったし、「まだこれはほんの一部ですよ…」という説明にも唸ったものだった。
ところで、台湾(中華民国)と言えば、その生みの親は、蒋介石(総統)。その業績を称えた「中正紀念堂」は定番の観光コースにも組み込まれている。
氏の歴史的な評価は専門家に任せるとして、誰が聞いても素晴らしいと思える、有名な言葉を遺している。そう、あの「恨みに報いるに徳をもってなす」という懐の深い考え方だ。
それが百戦錬磨の知略家から出たと思えば、何とも不思議な感じもするが、台湾国民が他の近隣アジア諸国民より〃親日的〃なのは、恐らくその教えが国の隅々まで行き渡っていることの証しだろう。
「台湾」は別名、蓬莱の島。「蓬莱」(ほうらい)とは、中国の神仙思想に描かれた不老不死の世界のことを指すが、同総統が諭すような心境にあれば、死もさほど恐れるものではなかろう。
そうした視点で世の動きを眺めて見れば、「目には目の…」のハムラビ法典以来、その線に沿った考え方が横行しているような気がしてならない。
「必ず借りは返す!」 - 。最近は野球選手あたりも「リベンジ」という言葉をよく使っているようだが、あくまでもそれはゲームの世界に止めておくべきだ。
毎年、毎回、毎時のように、ジャンルを問わずそんな考え方でいれば、「負の連鎖」は限りがない。残り少ないカレンダーを眺めながら、少々自戒の念も込めて…。
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