顔で笑って腹で泣く…新年会は「死のロードレース」
‐株式会社ケーブルテレビジョン専務 清水眞守‐
「新年会」(賀詞交歓会)続きで、いささかバテ気味である。昔なら「グロッキー」といったところだろうが、最近はどういう訳か、あまりこの言葉を使わなくなった。
今日も拙稿を書き終えたら、社員二人を伴って福岡へ向かう。九州・沖縄地区のCATV会社や行政、取引先メーカーなど二百人ほどが一堂に会して〃情報交換〃にいそしむ。
筆者の場合、数ある「新年会」の中でも、こと〃派手さ〃にかけては、恐らくこの会が一番である。それでも、踊りやマジックショーなどの「演し物」があった数年前に比べれば、次第に縮小傾向にある。
会場は九電本社の真向かいにある「ニュー・オータニ」。普段はとても足を運ぶような場所ではないが、この日ばかりは胸を張って門をくぐる。
受付を済ませ、どこかで何度も聞いたようなお堅い内容の挨拶が終われば、後は美味しい料理を目がけて「ブタまっしぐら!」だ。よくよく振り返ってみると、例年この辺りからダイエットの機運が急速に萎えてしまっているようだ。
お目当ては江戸前の握り鮨。福岡市内に何店舗も店を構える「Y」という有名所で、ふだん滅多に味わえない「トロ」を中心に、最低でも5人前は平らげる。
そうして小腹を満たした後で、脂身たっぷりの「肉食系」へと向かう。余談だが、酒類はあまりいただかない。二次会が待っているからだ。
二次会場と言うと、九州一の歓楽街「中州」ということになるが、店内に入れば、どこもそう大差はない。島原の場合と少し違うのは、福岡県選出の大物政治家の名前が頻繁に出てくること。
いつも以上に膨らみきった「胴回り」をさすりながらフンフンと聞いているのだが、少しも面白くない。小島よしおに倣って言えば「そんなの関係ない!」のである。
2軒、3軒とハシゴした後、宿舎にたどり着くのはたいてい12時過ぎ。一昔前なら、一人抜け出して屋台(ラーメン)に向かっていたが、最近はもうどこにもそんな元気はない。ひたすら眠るのみである。
トラ年!よく夏の甲子園大会が開催される間は、そこを本拠地とする阪神タイガースにとっては遠征ゲームが続き、「死のロードレース」とまで形容されているようだが、筆者にとっては正月上旬の期間がまさに「それ」。
福岡から帰ってきたら、また別の団体の「新年会」に出席しなければならない。もっとも、家族や社員などからすれば「ご馳走食べて、酒呑んで、どこが『死のロードレース』?」と非難されそうだが、それはそれでツライもの。
フーテンの寅さん風に言えば、「顔で笑って、腹で泣いているんだよ、オジちゃんは」。わかるかな?わからないだろうなぁ…。
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