寒の中にも春の訪れ…もうそろそろかねば!!
‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐
新年に入って早くも2週間が過ぎた。もうそろそろ〃正月気分〃も脱却せねばと思うが、この寒さ…。自身の、精神的な意味合いでの「啓蟄」(けいちつ)には、まだちと時間がかかりそうだ。
「虫」がらみの話で言えば、前の会社に入った直後に書かされた作文の中で、その当座の心境を問われて、「蠢(うごめ)く」という字を当てたことを、いまだに覚えている。もう30年も昔の話だ。
これから社会に旅立とうとする高揚した気分の中に、ハテどんな「虫」が巣食っていたのだろうか?今となっては、すっかり忘れてしまったが、青春の良き思い出の一つであることだけは確かだ。
まあ、それはそうとして、どうも最近は「虫の居所が悪い」ような気がする。何となくすっきりせず、体の芯から湧き上ってくる覇気を感じないのだ。
加齢のせいもあろうが、50代半ばなので、まだまだ老け込むわけにもいかない。かと言って、動き出すには寒すぎる。こういう甘えた考え方では「虫の良い野郎め」と蔑まれても仕方がないか…。
退屈しのぎに窓を開け、裏の玄関口を眺めていたら、昨日の朝の積雪で作られた「雪ダルマ像」がちんまりと肩を落としている。切ない気分だ。
〈春よ来い 早く来い あるきはじめた みいちゃんが 赤い鼻緒の じょじょはいて おんもへ出たいと 待っている♪〉
原稿が進まぬ頭を冷やそうと、みいちゃんに倣って表に出てみた。相変わらず冷気は漂っているものの、陽が射している辺りは上着なしでもちょうど良い頃合いだ。
先の童謡の二番の歌詞では、蕾(つぼみ)をふくらませているのは「桃の木」であるが、音無川沿いの「桜の木」の蕾も随分と大きくなっている。そう、筆者が「寒い、寒い」とこぼしている間に、春は確実に近づいて来ているのだ。
一通り周辺を散策してみたが、虫の姿はどこにも見えない。しかしながら、地中のどこかで「蠢動」(しゅんどう)していることだけは間違いない。
それにしても、ビオラの花は偉い!茎全体が雪に埋もれていても、その過酷な環境に一瞬もひるむことなく、鮮やかな色合いを醸し出し続けている。
そんな自然界の崇高な営みを目の当たりにして、少しばかりの「寒さ」を理由に、身も心も縮こまってしまっている自分が恥ずかしくなってきた。
もう、自身の怠惰癖を天候のせいにすることなど止めよう!タバコともすっぱり縁切りして、戸外に出て思いっきり清新な空気を吸おう!
さあ、そろそろエンジンがかかってきたぞと思っていたら、とうとう紙幅が尽きた。夕方からまた県外出張だ。今度こそ、気合を入れ直して!
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