公方俊良師の講演(2)…混迷を打破するリーダーの着眼点
‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐
申し遅れたが、「U先輩」は島原高校出身。現在は「公認会計士」として福岡を拠点に活躍中だ。その「プロ」もうなった禅師の教え。筆者は単なる「橋渡し役」に過ぎないが、読者の皆様(特に経営者の方々)には、この未曾有の不況期を乗り切るための「道標」として、その意図するところを存分に読み解いていただくことを願う。
なお、講師の公方さんには『般若心経~人生を強く生きる101のヒント~』(三笠書房)など多くのの著書があり、現代仏教界の第一人者としてNHKラジオ『宗教の時間』に出演しているほか、全国各地の「文化講演会」などで絶大な人気を博している。
(2)
公案第2則。京都妙心寺の関山慧玄和尚は、隣室の弟子たちに声をかける「おい、雨漏りしてきたぞ」。最初に駆け付けた弟子は手にザルを持っている。和尚は「おぉ、でかした」と褒める。
次に来た弟子は桶をもってきた。和尚は「この間抜けが!」と叱った。どうしてか?ザルでも桶でもいい、咄嗟に早い動きをすることが禅では大切なのだ。
今、経営が好況から不況に大きく変化している。しかし、皆さんの経営手法だが、好況時のまま、ということはないだろうか?
もしそうであれば、うまくいくはずがない。状況によって柔軟な発想の転換が求められるのである。好況時の経営は「選択と集中」でよかった。これは競争力をつけ、効率化を図って成長するものだからである。が、不況期は違う。
不況期に「選択と集中」を行うと、市場は狭まりジリ貧になっていく。不況期の手法を考えたい。それは「多軸経営」である。軸足を多くし、1つの事業(足)がダメになっても、他の足が企業を支える。リスク分散である。
多軸経営には4つのポイントがある。1.本業中心で、かつ間口を広げて多軸化を進めること。不況期は売上を維持することが大事だからだ。
一例は、大阪の「東海バネ工業」。バネメーカーのほとんどが選択と集中を進め、間口を狭くして量産戦略をとってきた。
だが、同社は間口を広くして、どんなバネにも対応できるようにした。たとえ単品であっても応じられるところがすごい。多くの企業が不況下に喘いでいる中、同社は堅調な経営を続けている。これが本業中心、かつ多軸化の好例だ。
2.は技術的な対応をすること。新たな技術を生み出すことは容易なことではない。そこで既存の技術を応用していくというアプリケーション、現存の技術を組み合わせるというアセンブリ、こうした方法を活用していくことだ。
「樹研工業」(愛知県豊橋市・松浦元男社長)などがその好例。世界で最微小の歯車を作っており、ライバルには真似ができない。この不況下でも新規設備投資をしている。-つづく-
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