エイボン川を見よ!…「地力」を支えるのは「知力」
‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐
肌寒い日が続いているが、我が社前の音無川沿いの桜の老木もいよいよ開花を始めたようだ。さあ、これから出社が楽しみ!
さて、弥生三月と言えば、「別れ」と「旅立ち」の季節でもある。卒業を境に進路はくっきりと分かれる。古里に残る人、離れる人…。いつもながらの様々な〃人間模様〃。
〈恋人よ僕は旅立つ東へと向かう列車で♪〉と男が言えば、女は〈都会の絵の具に染まらないで帰って♪〉と切ない胸の内を明かす=太田裕美『木綿のハンカチーフ』。
幸か不幸か、そうした局面に出合う間もなく、半世紀余が過ぎた。一時期、都会で暮らしたことはあるが、塗られかけた〈絵の具〉はもうとっくの昔に剥げ落ちてしまった。
代わりと言っては何だが、今では古里の海、山、川…果ては一木一草に至るまで、愛おしくてたまらなくなってきた。「よくぞこの地に生まれ(育ち)けり!」の心境である。
10日ほど前、何気なく視ていたテレビ番組で、ニュージーランド(南島)の都市「クライストチャーチ」を紹介していた。眺めているだけで〃旅心〃がくすぐられると言うか、それはそれは綺麗な街並みであった。
人口規模は40万弱。街中至る所に緑豊かな公園が整備され、湧き水を源泉とする「エイボン川」がゆったりと蛇行しながら流れていた。
日本では岡山県の倉敷市(昨年、訪問した)が「姉妹都市」だというが、映像という側面は差し引いても、「景観美」においては、残念ながら足元にも及ばない、といった感じがした。
何より目を引いたのは「エイボン川」の佇まい。そこで全てを映し出しているはずもないが、水の透明度は「世界一、二位」とまで評価されているほどだ。
山高きが故に尊からず - 。川だって広いだけが取り柄ではないはず。一見「小川」としか表現のしようがない程の規模だが、得も言われぬ〃存在感〃は圧倒的だ。
ところで最近は、以前ほど「地域起こし」という呼び声を聞かなくなった。ただ一方で、「中央集権」に対義する「地域主権」という言葉が生み出され、所々で「政争の具」として使われているような気もする。
まあ、それは個々人の受け止め方の問題であるから、殊更に言い募る問題でもなかろうが、最近とみに思うのは「地力」(ちりょく)のこと。
ごく簡単に言い換えれば、その「地」に備わった元々の「力」のことだから、これはもう抗いようのない「実力」とも言えよう。果たして、島原(半島)の「地力」とは一体…。
念願の「世界ジオパーク」への加盟が認められてはや半年。その「地力」を発展させるための人間の「知力」は足りているのだろうか?音無川は今日も無言のまま流れている。
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