太田先生の診立て…ダメ!無闇なボーリング
‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐
過日、島原半島ジオパーク推進連絡協議会の総会に出席させていただいた。中身そのものは予算案の審議などが中心で、特段紛糾することもなく閉会したのだが、どうにも太田一也九大名誉教授(同会顧問)の発した言葉が気になる。
同先生は言わずと知れた「普賢岳のホームドクター」で、災害当時より独特の味わい深い話し方をされる。どう表現したらいいのか良く分からないが、口を開く前に、一瞬だけ息を呑み込まれる、といった感じなのだ。
その口調に乗って出てきた端的な指摘が、「島原湧水群」の保全問題。すなわち、ホームドクターの眼から見た「症状」である。「懸念」と言い換えた方が、より分かりやすいかも知れない。
現在、島原市内には「眉山」を水源とする、名の知れた「湧水スポット」があって、連日多くの観光客で賑わっているようだが、ドクターの診立てでは「どうにも危うい」という。
なぜか?その疑問に対するドクターの答えはこうだ!「島原の湧水は元を質せば、『島原大変』(一七九二年)にたどり着く。それが最近は市内あちこちで、無闇にボーリング工事が行われ、本家本元を台無しにしつつある」と。
ドクターによれば、江里や宇土などの旧来からの神社湧水は枯渇・減少しているし、お城や武家屋敷と並ぶ観光名所でもある鯉の泳ぐまち(新町)の水量も漸減している、というのだ。
ドクターの指摘はさらに続く。「歴史に根差した本物の『島原湧水』と言えるのは、今回市が買い上げた新町の『四明荘』(旧伊東邸)。砂地から噴き上がるあの形状こそがまさに本物。行政も市民もあれこそ守らなくては!」と警鐘を鳴らす。
そうした一連の発言で困った(?)のは、議長役の横田市長。四明荘と合わせて、鯉の泳ぐまち全体の一体的な整備を図ろうと、富重跡の敷地を取得していた背景があるからだ。
こうしてこの問題の最終的な「政治判断」は市政運営のトップリーダーである横田市長に預けられた格好となったが、一方で市民レベルでも「湧水保全」のあり方について再考を促すきっかけにも繋がらないだろうか?
「ここ掘れワンワン」式にボーリングを実施し、「吾こそは『島原湧水の守護神』なり!」と、一人悦に入っているようなご仁はよもやおるまいと思うが、実態の程は分からない。
折しも、島原市の水道料金が新年度から値上げになったのは、まだ記憶に新しいニュースだが、災害当時に島原通信局長をしていた朝日新聞のNさんの言葉が急に思い浮かんできた。
「水道料金は他市に比べて安いのだから、少しは値上げしてもいい。ただし、それは保全の施策に生かすべき」と。今回のドクターの指摘と符合していると思いませんか、皆さん?
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