2010/04/03

語り口に見る「人生」…飛島のこと知ってますか?

‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

昨報では、九大の太田一也先生の話を取り上げたが、「語り口」というのはその人の「人生そのもの」を反映しているように思えてならない。なぜこんな書出しかと言うと、先月上旬に出張先で観たドキュメンタリーの印象が余りにも強烈に残っているからだ。

番組名は『テレメンタリー』(テレ朝系)。その日(3月9日)は、山形県唯一の離島・飛島(とびしま)で、診療所の医師として活躍している杉山誠さんの「生き様」を特集していた。

杉山さん(静岡県清水市出身)は現在73歳というから、太田先生とほぼ同年代。ただ、顔の造作はともかくとしても、身体からにじみ出ている雰囲気が「瓜二つ」なのだ。

一方は九大出身の「火山学者」。はたまた一方は北大に学んだ「医師」なのだから、当然、違ってしかるべきなのだが、背後には同質の「オーラ」が流れているように感じた。

これは1つの物事に全身全霊を賭して打ち込んできた人間特有の「輝き」だろう。決して饒舌ではないが、話の内容は少しもポイントを外さず、言葉の端々に地域や住民に対する「慈愛の念」が見て取れる。

島原半島も老齢化が進んでいる過疎地だが、飛島とはとても比較にならない。周囲10キロの小さな平地の島に三百人足らずの住民が暮らし、その大半は80歳以上の老人。

交通手段にしても、40キロほど離れた本土の酒田市とは、片道90分を要する一日一便の定期船が運航しているだけ。時化ともなれば、何日間も欠航することもざら、という。

杉山さんは10年ほど前から単身赴任。住民最大の不安は「先生が島から離れること」。とは言っても、杉山さんとて生身の人間。いつ何時、家族のもとに帰ってしまう事態となるのか、保証の限りではない。

コラムに記している杉山さんの叫びは痛切だ。「辺地は多様である。内陸の過疎地は不便ながらもなんといっても地続きである。地続きのありがたさは、島にいるとよくわかる」。

一方、太田先生。地続きの「半島」で暮らしている点は、杉山さんより恵まれているとはいえ、地域そのものが「崩壊の危機」に直面した状況下での観測活動は、なまなかのものではなかったはず。

時折、会議等でお見かけするが、歴史的な『平成版・島原大変』の真実を確かな記録(データ)として後世に伝えるべく酷使されている両の手首の「テープ姿」が何とも痛々しい。

個人的には、いずれの機会かに同番組が太田先生のもとを訪ねてくれることを望んでいるが、それより先に島原農業高校の取り組みが、『いのち いただきます』というタイトルで、翌週に放送されていたのには驚いた。

そう、みんな一所懸命なのだ。太田先生や杉山さん、島農生などの姿を見習って、島原半島住民も、まーだガマダサンバ!