あらま、ロタックス!?…「メーカー品」の懐かしい響き
‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐
「石川や 浜の真砂は尽きるとも 世に盗人の 種は尽きまじ」 - 。天下の大泥棒、石川五右衛門が辞世の際に本当にそう言ったのかどうか知らないが、インターネット時代の今も、洋の東西を問わず,その手の「ニュース」には事欠かないようだ。
間近に迫った「上海万博」のPRソングの盗作問題。すでにテレビ等でも盛んに取り上げられているようなので、今さら説明も要すまいが、実態は岡本真夜さん(日本人楽曲家)の作品の「完全なるパクリ」ということだ。
彼の地(中国)に限らず、発展途上にあるアジアの周辺各国では、多くの欧米&日本ブランドの「コピー商品」で溢れかえっている。かく言う筆者も以前、尊敬する先輩からタイ旅行の土産に「時計」を貰ってヌカ喜びしたことがある。
「こっ、これはロレックスではないですか。本当に頂いてもいいんですか」。欣喜雀躍する筆者に、先輩は「高かった」と一言。しかし、その様子がどうもおかしい。何やら含み笑いをしているようなのだ。
果たして、その時計は使い始めてから1週間も経たないうちに動かなくなってしまった。改めて文字盤の裏面に刻まれたスペルを見ると、「ロタックス」としか読みようがないアルファベットが刻まれていた。
まあ、これなどは罪の無い「冗談話」で通じるとしても、巨額の開発費を投じて生まれた製品や、一流のアーティストの手になる作品が「本物を装って」大量生産される事態は、当事者ならずとも黙って見逃すわけにはいかないだろう。
ところが、敵もさるもの。当局の摘発など「へのかっぱ」の呈で、地下に潜ってはせっせと模造品づくりに励む。今さらながら「モグラ叩き」とは良く言ったものだ、と感心する。
今でこそ「ブランド(品)」という言い方は日本人の間でもすっかり定着しているようだが、少し前までは、同じような意味で「メーカー品」という表現を使っていた。つまり、信頼の置ける一流メーカーが責任を持って仕上げた「本物商品」ということだ。
ところが最近では、その表現がほとんど聞かれなくなってしまった。とある登山用具店で交わされた、中年男2人の会話にそれが象徴される。
「お客様、こちらがパタゴニアという商品でございます」と店員。すると1人の男が「そりゃ、メーカー品かない?」と悪びれず尋ねたところ、別のもう1人がたまらず笑い出した。「どっでんメーカー品じゃろもん。そがん時にゃブランド品て言うと!」。
最後にブランド品にまつわるクイズを1つ。日本人で最初にルイ・ヴィトンを買ったのは誰?答えは明治の元勲、後藤象二郎。明治16年のことだそうで、きちんと顧客名簿にもその名が残っている、という(出典=青春出版社・話のネタ㊙ノート)。
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