2010/05/07

「心の癒し旅」に出発…期せずしてアマノジャクに

‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

〈天邪鬼〉と言えば、これほど明け透けな〈アマノジャク〉もあるまい…。思わず自嘲的な笑いが漏れるほどの浅ましい行動(?)をとってしまった。

時は連休中日。5月3日「憲法記念日」のことだ。本欄でも幾度か紹介したしたこともあるが、筆者にとって、徒歩での島原半島一周は、未だ成し得ていない「悲願の旅」でもある。

振り返ってみると、自転車での半島一周はまだFM開局後間もない頃ではなかったか。南目の国道を、北風に逆らって必死で進んで行ったことを思い出す。

徒歩バージョンは一昨年の初秋の頃。口之津と南有馬の道路脇で、夕涼みがてらのマムシがたむろしていた、おぞましい情景が忘れられない。

しかし、それより何より午前3時過ぎに西有家町引無田のバス停付近で途中棄権してしまったことが、いまだに「心の傷」として残っている。後で調べたら、出発地点の小浜温泉からそこまでの距離は約35キロであった。

それから二度にわたって「108キロ」の全行程制覇に向けてチャレンジを続け、ようやく国見町多比良駅まで漕ぎ着けたのが半年ほど前のこと。残る距離は38キロ前後と踏んでいた。

前置きが長くなってしまったが、仕上げの旅「多比良~小浜間」に挑んだのである。では何故〈アマノジャク〉なのかと言うと、折しもその日は「佐世保~島原間105キロウォークラリー」の日だったのだ。

午前6時6分島原駅発の始発列車に乗って初めてそのことに気付いた。周囲を見渡すと、いかにも健脚家と思しき人々の群れ。決して誇張なんかでなく、皆さん平然とした表情なので正直びっくりした。

この日、島鉄の車窓から眺める有明海の朝日は殊のほか美しかった。多比良駅には定刻の6時22分に着いた。

さあ、そこからが筆者の「心の癒し旅」の始まりだ。ところが、いざ国道に出てみれば、胸に誇らしげにゼッケンを付けた佐世保出発組が陸続と続いてくるではないか。

余りにも頻繁に擦れ違わなければならないので、恥ずかしくなって歩道を替えた。とその途端に、島原食販の水元敦美社長が元気に道向こうを歩いておられるではないか!軽く手を挙げて敬意を表した後、あとは人々とは真逆の「孤独な一人旅」だ。

帽子は何年か前に訪れたアイスランドで仕入れてきたもの。思えば、彼の国も「財政破綻」に加えて、一時的にせよ世界の航空情勢をマヒ状態に陥らせた「噴火活動」と、何ともご難続きである。

記憶するところによれば、半島一周の距離は人間の煩悩の数と同じ「108(キロ)」。踏破すれば、きっとそこから解脱できる。「弱い自分に必ずシャッポを脱がせてやる!」と固く心に誓って歩を進めた。

‐つづく‐