2010/06/20

「活弁」の迫力を今!!…7月18・19日に島原公演

滅多にないことだろうが、人生には、想ってもみなかった「掘出物」と出くわすことがある。さしずめ、我々がいま企画している「無声映画大映写会」がそれに当たろうか、と思う。

人間を「物」に例えるなど、まったくもって不見識の極みなのだが、7月18、19の両日、島原での公演をお願いしている「活弁士」の父娘、麻生八咫&子八咫さんは、想像以上の「大物」だったので、正直ビックリしているところだ。

「活弁士」(活動写真弁士)とは耳慣れない言葉だが、かつて映画が「無声」だった頃に活躍した、日本独特の映画専門の「語り部」のことだ。今では全国に10人くらいしか残っていない、という。

八咫(やた)さんとの出会いは、ふた月ほど前。島原龍馬会の発足準備の集まりで、全国龍馬社中の面々と酒席で同席したことから。八咫さんは埼玉龍馬会の会長さんだ。

その名も忘れかけていた頃に、電話がかかってきた。「今、大分で公演しているんだけど、島原でもどう?」。せっかくの龍馬繋がりでもあったので、二つ返事で受けることにした。

聞けば、長崎の歴史文化博物館でも8月初旬に公演する、とか。「ならば、島原が先行するのか!」という至極単純な理屈が背中を押した、という次第だ。

ギャラ等の交渉の過程で、一冊の本を頂いた。タイトル名は『映画ライブ それが人生』もちろん八咫さん本人の著作だが、これが滅法面白い!何が面白いかって、その生き様が「八方破れ」でスゴイのである。

大分の老舗薬局の跡取り息子として生まれながらも、数学が出来ないばかりに4浪。やっとこさ入った独協大学では、勉強そっちのけで空手、文学、演劇…などに打ち込む。

就職活動にも取り残されて、選んだ道が「一人芝居」。結婚はしたものの、あてどない貧困生活が続く。けれど、八咫さんは決して挫けなかった-。

こうした苦労話はえてして疲れるものだが、『八咫さん物語』は失礼ながら腹を抱えて笑ってしまう。全編、アッケラカンとしているのだ。

ただ、それだけに終わらないところが、この方のスゴイところ。善良な周囲の人々の協力が功を奏し、平成7年にはイタリア・パルマ公演でローマ法王と謁見。さらに文部大臣賞(同10年)を受賞したのを機に、運勢は急上昇!

紙幅の都合で詳説はできないが、NHK総合テレビ『課外授業 ようこそ先輩』や同『ラジオ深夜便』へ相次ぎ出演するなど、今やその人気は全国区。最近は子八咫さん(東大大学院生)の活躍ぶりも目覚しく、高校の英語の教科書(東京書籍)にも登場しているほどだ。

島原公演のチケットはカボチャテレビと島原新聞社で近く発売予定。会場は初日が平成町のサブアリーナ(昼・夜2回)。2日目が一番街ビジーホール(昼のみ)。前売り1,500円(もっぱらカード会員は1,000円)。