2010/07/03

オスの涙は武器?…ヌカ喜びの「ナキオ君」

抹香くさい話が続いて恐縮だが、筆者は昔から涙もろい性質(たち)なのである。テレビを観ながらでも「感動的なシーン」に出くわすと、簡単に涙ぐんでしまう。

悲しいことがあっても、ぐっと奥歯を噛み締め、遠くを見やって涙をこらえる芸当など、まず出来ない。方言上の分類では「泣き(く)べし」(「泣き虫」の意)に属する。

したがって、葬式にハンカチは必需品だ。たとえ故人が「あかの他人」であっても、弔辞の際に遺族席などから嗚咽(おえつ)の声が聞こえてくれば、間違いなくもらい泣きする。

先日、祖母の葬儀の後、気丈でなる親族の一人から、早速「ナキオ君」なる渾名(あだな)を頂戴した。別段、光栄ではないが、言い得て妙である。

そう言えば、韓国や中国には「泣き男」や「泣き女」という職業があるやに聞く。残念ながら、まだ出会ったことはない。よもや「専業」ではあるまいと思うが、実のところは分からない。

もし仮に、それが「本職」だとすれば、海外旅行の際の出入国カードの「職業欄」にどう記すのだろう。まずもって、欧米の管理官には理解されまい。

その手の話でいけば、ウソかマコトか知らないが、演歌歌手の村田英雄さん(故人)に有名なエピソードがある。性別を表す「SEX欄」に「週3回」と書いたのだと!?

話は変わるが、1日付けの日経新聞の社会面で、面白い「囲み記事」を見つけた。東京大学・東原和成教授のマウスを使った研究によれば、オスの涙は「武器」になる、と。

何の武器かと言うと、オスの涙には、メスの性欲を刺激する「たんぱく質」(性フェロモン)が含まれているというのだ。だとすれば、「ナキオくん」の異名を持つ筆者なんかは、もっと「モテモテ」であってもいいはずだが…。

研究の成果は権威ある英科学誌の『ネイチャー』に1日付けで掲載されたというから、「悲しみの涙」が「歓喜の涙」に豹変できる日も近い?

そんな「淡い期待」を抱いて読み進めていたら、ラジオ出演のために弊社を訪ねていた北田貴子さん(北田物産)が途中から割り込んできた。

そして一言。「えーっ、でも『ヒトにはない』って書いてありますよ!」と。狼狽(ろうばい)した筆者が「どこ?どこ?」とひったくるように紙面を取り上げると、まん中の辺りに確かにその「見出し」が…。

冷静になって考えてみれば、そりゃそうだろう。目を真っ赤に泣きはらして鼻水をすすっている「泣きべし」より、高倉健さん風の「耐える男」の方がもてるに決まっているさ!

まだ喪も明けていないのに、こんなバカげたこと書いて、亡くなった祖母に怒られてしまうかな?安心して成仏してね、おバアちゃん!