2010/09/18

「三好屋新田」に最敬礼!…朝の散歩で学ぶ島原の歴史

暑さのため、しばらくなりを潜めていたが、再び歩き始めた。「早朝散歩」というやつである。

恐らく今が、年間を通して一番、空気との触れ合いを心地よく感じるシーズンであろう。とにかく、歩いているだけで気分が弾んでくる。

日によってコースを変えているが、大概は「堀端」か、「長浜&猛島海岸」である。一昨日と昨日は、後者を選んだ。

長浜海岸―。大型建設機材の間を縫うように歩を進めていくと、右手には夏の間に人の丈以上に生い茂った藪山。左手は海だ。

雲一つない日本晴れ。夜明け直前には、対岸の熊本の山々が、茜色の空をバックに見事なシルエットを描き出している。

突堤でタバコをふかしながら〃日の出〃を待つ。と、ちょっと油断している隙に、太陽が昇ってきた。

慌てて火を揉み消し、頭を垂れて、拍手を打つ。周囲には誰もいない。「フッフーン、この素晴らしい光景はオレ様だけのもの!」と、独りほくそ笑む。

やがて海上には、黄金色の光の帯が一筋、足元近くまで伸びてくる。遥か沖合いでは、小型の漁船がポツリ、ポツリ…。長閑極まりない秋景色だ。

それだけでもう、十分過ぎるほどの〃感動モノ〃なのだが、あたかもその〃瞬間〃を待ち侘びていたかのように、今度はトビウオが跳ねる。時計を眺めたら、6時10分を少し回っていた。

踵を返して山手を眺めると、眉山の稜線が柔らかな日差しを浴びて微笑んでいる。遠目に見る「お城」は、まるで模型のオモチャのような雰囲気だ。

一晩中鳴き続けたせいだろうか、「虫の音」がやけに弱々しい。引いては寄せる力強い「波音」には、とても〃太刀打ち〃できそうにもない。

休日でもないのでそのまま居座るわけにもいかず、次なる目的地「猛島神社」を目指していると、途中で「風致地区」と記された古い石碑に目が留まった。脇には、市教委が立てた「三好屋新田」の案内板。

ナニナニ、フムフム…。豪商、中山要右衛門の〃功績〃が達意な文章で、分かりやすく説かれている。概要は知ってはいたが、構えて読んでみると、やはり大した人物だったんだ、と改めて敬服した。

さらにビックリしたのは、その〃年号〃。事業着手「1837年」とある。ちょっと待てよ!確か、島原の乱の勃発が「1637年」のはずだから、節目の年、ちょうど200年後の大事業ではないか!

偶然の一致であるにせよ、驚愕の〃事実〃だ。歴史的に名高い、あの「ニューディール政策」より100年も前に取り組まれた、民間活力による「緊急経済対策」。その先見の明!!

帰りの足取りがやけに軽くなったのは、言うまでもない。