2011/03/20

高橋長大教授が退官…果てしなき災害との戦い…

長崎大水害に加え普賢岳噴火災害の復興過程でも学術的見地から大いにご貢献いただいた長崎大学工学部教授、高橋和雄さんの退職慰労会が19日夜、長崎市内のホテルで開かれた。教え子や防災関係者など約200人が出席。元知事の高田勇さんも元気なお姿を見せて下さった。

祝辞を述べたのは高橋裕(東京大学名誉教授)、小嶺啓蔵(長崎大学工学部土木工学科1回生)、横田修一郎(島原市長)の各氏。それぞれに高橋教授の謹厳実直な人柄を称え、「象牙の塔」に収まり切れない数々の研究成果の一端を語った。

乾杯の音頭をとったのは副知事の藤井健(たけし)さん。「普賢岳」で親交の深い太田一也(九州大学名誉教授)、吉岡庭二郎(元島原市長)、清水洋(九州大学教授)の三氏も高橋教授ならではの微笑ましいエピソードを交えながら、学究生活41年にわたる〃永年の労〃をねぎらった。

何を隠そう、この筆者も高橋教授に大変にお世話になった者の一人である。もちろん、まったくの畑違いであるから「学問の世界」の話ではない。「普賢岳」でもない。答えを言う。「コミュニティFMラジオ」に関して、だ。

一昨年秋のこと。「FMおおむら」の免許取得に当たって、現地の関係者から相談を受け、高橋教授の研究室を訪ねて、色々とお話を伺った経緯がある。お蔭で、同社はちょうど1年前に、正式に開局することができたのである。

その後の同局の動きに関しては、たまに大村市内を移動する際に周波数を合わせるくらいだが、仮に同市周辺で災害が起きた場合には、その威力を大いに発揮してくれるはずだ。

さて、日曜日の今日(20日)も、テレビは朝早くから災害報道一色である。一泊後、長崎からの帰途、たまたまカーナビテレビのスイッチを入れたら、聞き覚えのある懐かしい声が聞こえてきた。

信号待ちを利用して画面を確認してみると、NBCテレビの人気番組『サンデーモーニング』に出演していたのは、なんと社会安全研究所前所長の木村拓郎さんだった。

同放送によると、「安中三角地帯かさ上げ事業」の理論的指導者で島原市とも関係の深い木村さんの生家は、今回津波被害を受けた宮城県石巻市にあり、96歳の母親とやっと連絡が取れたところだ、という。

高橋教授と木村さんとは「師弟」の関係で、2005年12月にその指導のもとに博士論文を書き上げたことは記憶に新しい。また、木村さんは東大大学院時代、故・廣井脩教授の愛弟子でもあった。

慰労会の席上、テーブルスピーチを求められた高田元知事はこう言い切った。「災害は必ず来る。ただ、いつ来るか判らないから、高橋先生のような地道な研究が大切なのだ」。災害と人間との終わりのない戦いはまだまだ続く。ガンバランバ!!