酒にて風土を考える…早く根付いて「復興のタネ」
普賢岳噴火災害から「20年」という歳月の流れを考える各種行事も滞りなく終え、島原はこれからいよいよ本格的な夏のシーズンを迎えます。
筆者も時間の許す限り会場に足を運び、関係の方々の話に耳を傾け、ひたすら記憶の糸を手繰り寄せてみました。そこで気付きました。忘れてしまった事の何と多いことか!
今さら逆説的なことを言うようですが、何であれ、記憶は「風化」していくものです。これはもう抗いようのない「現実」であり、身過ぎ世過ぎを平穏に送っていく上での人間の「智慧」でもあります。
しかし「だから」と言って、何でもかんでもパソコンの「デリートキー」を押すようには、人間の脳はできていません。嫌な事も、楽しかった思い出も「無意識」のうちに蓄積されているのです。
そうした思いの数々を、地域として集大成したものが「風土」という表現で言い表されるものだ、と筆者は勝手に解釈しています。いかがでしょう?
この「風土」について考える好例を、宮崎康平先生が実に巧みなワザで紹介されています。その真髄を教わり、さらに伝播しているのが早稲田後輩の永六輔さんです。
前にも書きましたが、このくだりだけは、なかなか記憶が「風化」しませんので、敢えて再録させていただきます。
〈旅先で酒を断ることは失礼だ。飲む真似だけでもしなさい。できるだけ大杯をもらって、飲むのができないんだったら、酒の上をわたってくる「風」を飲め〉=『もっとしっかり日本人』より。
どうです、皆さん、詩的な素晴らしい話だと思いませんか?少なくとも筆者は、この例えに脳天までシビレてしまいました。
そうしますと、島原市の山崎本店酒造場の『まが玉・大吟醸』が2年連続で、全国新酒鑑評会の金賞を受けたのは、とても嬉しいニュースです。
少し脱線しますが、先般、島原市医師会の総会の席に社長代理で呼ばれた時に、各テーブルに福島県会津若松市の末廣酒造がつくった『大吟醸・玄宰』(こちらも金賞受賞)というお酒が置かれていました。
最初は怪訝な思いで眺めていたのですが、小島進会長のご挨拶を聞いて得心しました。今回の大震災被災地への医療スタッフの派遣に対しての、現地医師会からの〃返礼〃だったそうです。
最近では、「東北の日本酒を飲もう!」というキャンペーンが繰り広げられているそうです。皆さん、これからは焼酎、ビールに加えて、日本酒もジャンジャンいただきましょう。
最後になりましたが、今日(6日)は二十四節気で言うところの「茫(ぼう)種(しゅ)」。穀物類のタネをまく日だそうです。東日本の被災地に「復興のタネ」が一日も早く根付きますように!
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