2011/06/16

都会で成功したアナタ…カスで悪うございましたね!?

誰がそんなことを口走ったのか「犯人捜し」はしないまでも、無性に腹が立った。その苦々しい思いは時間が経つにつれ、余計に強まるばかりだ。

過日、筆者の記事を読んだという、とある県外在住者が、わざわざ弊社まで訪ねて来られた。きちんとした肩書きのある、大変に生真面目そうなお方であった。

初対面ではあったが、こちらが驚くほど随分と熱心に「自説」を展開された。ちゃんとしたデータの裏付けもあり、当方も膝を乗り出してその説明に聞き入っていた。

ところが、次の一言を耳にした途端、頭から冷水を浴びせ掛けられたような気がして不愉快になった。曰く―「地元に残っている連中は『カス』ばかり、と知り合いの島原半島出身者が嘆いていた」と。

もちろん、訪ねて来た客も「発言者」の氏名など語りもしないし、当方とて知ろうとも思わないが、随分と失礼極まる言い草ではないか!

先般、普賢岳噴火災害から20年の歳月が流れたのを機に、シンポジウムが開かれ、島原半島全体の在住人口が被災前に比べて3万人近くも減っている、という逃れようもない「現実」を突き付けられた。

確か、そのデータを発表したのは着任後間もない島原振興局長さんであったが、改めて慄然とした思いを抱いた聴衆も多かったことだろう、と思う。

手元に資料がないのでいつの年代が人口のピークであったか知る由もないが、単純に3万という数字だけで考えれば、旧1市16町体制に置き換えるなら、3町~4町の住民がこの地から忽然と姿を消した、に等しい。

これは、ひとり行政に限らず、地元で様々な事業を営む市井の人間にとっても、死活につながる「大問題」である!

そんなことは、日本の「地方」(田舎)と称されている場所では至極当たり前の話であって、特段、筆者ごときが改まって気色ばむ必要もあるまいが、少なくとも何であれ、我々はこの地で生き抜いていかねばならない!

噴火災害当時、古里の「実情」を見るに見かねた出身者の方々が物心両面にわたって支援の手を差し伸べてくださった。20年という時は流れたが、本当に本当に得難い体験であった、と深く心に刻んでいる。

いま改めて思い出す言葉がある。混乱極まる中で、宮本秀利さん(宮本造園社長)が出身者へ向けて発した次のようなメッセージだ。

〈効率・金銭面だけで考えれば、田舎の暮らしぶりは間違っているかも知れない。ただ、ここには『ご先祖様』が眠っておられる。我々の最大の責務はその墓守である!〉

前段の「暴言」の主に「カスの立場」もわきまえず敢えてお訊きしたい。貴方はまったく独りの力で大きくなったのですか?