『心訓七則』に照らせ…世の中で一番悲しい事は…
「こちらは○○○です。ただちに犯罪はやめなさい。あなたの行動は逐一監視されています」―。
いつになく早起きして出社一番乗りを果たしたら、突然、天井のランプが点滅して、冒頭の警告アナウンスがシャワーのように降りかかってきた。
どうしよう?予期せぬ事態にオタオタしていたら、今度は机上の電話機がけたたましく鳴り始めた。恐る恐る受話器を取ると、警備会社からの連絡だった。
「どうしました?」「いやー、あのー、ちょっとー」。シドロモドロの口調になって事情を伝えたら、「入口の脇の機械にセキュリティカードをかざして下さい」と、紋切り口調でガチャン。
〃騒ぎ〃自体は指示通りに動いたおかげで、ごく短時間で収まったのだが、誰もいない室内で何だか変な気分になって、急に笑い出してしまった。
自分の事務所に、自分が入って、お金まで払っている赤の他人から注意を受けることの〃自己矛盾〃。笑わないでおれようか!
しかし、これぞ紛れもない〃現代〃である。街じゅう至る所に監視カメラが設置され、時に犯人逮捕に結び付くこともある。また、犯罪の発生を未然に防ぐ〃抑止効果〃があるのも周知の事実である。
ただ、人間には本来〃良心〃というものが備わっているはずだから、たとえソノ場では言い逃れが出来たとしても、よほどの悪人でない限り〃呵責の念〃から解放されることはない。
諺に曰く「天知る地知る我知る人知る」(悪事や不正はいずれ必ず発覚する、という意味)。出典は中国の『後漢書』で、「四(し)知(ち)」とも言うそうだ。
関連して、これと似たような名言に「世の中で一番悲しい事は、嘘をつくことです」というのがあることは、読者の皆さんもよくご存知であろう。
久しくこの発言の主は慶應義塾の創始者、福沢諭吉翁とされてきたが、どうやら最近になって違うことが判ってきた、という。
ただ、誰の作どうかということに関係なく、これまで『心訓七則』としてあがめられてきたこの名言録は今の時代にも十分過ぎるほどに通じるものだ。
①世の中で一番楽しく立派な事は、一生涯を貫く仕事を持つと云うことです②同惨めな事は、人間として教養のない事です③同さびしい事は、する仕事のない事です。
④同みにくい事は、他人の生活をうらやむ事です⑤同尊い事は、人の為に奉仕し決して恩にきせない事です⑥同美しい事は、すべてのものに愛情を持つ事です―そして⑦が嘘篇。
どうです皆さん、これらを読んで何か心に思い当たる節(ふし)はありませんか?「いや、私は百%この線に沿った人生を歩んでいる」。そう断言できる貴方は、余程の正直者か、大した嘘つきです。
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