2011/07/28

木は無口だけれど…黄色い葉っぱが物語るもの

「カンテンノジウ」と言っても若い人にはなかなか伝わらないだろうが、さしずめ昨夕のにわか雨がその部類だろう。漢字で書くと、「干天の慈雨」。

最近は地球温暖化の影響とやらで、予測のつかない局地的な集中豪雨。いわゆる、「ゲリラ豪雨」による浸水被害等が大きな社会問題ともなっているが、夏場のシャワーは屋外でも気持ちの良いものだ。

ただ、昨夕は見事なまでに気まぐれな天候に裏をかかれてしまった。クソ暑い最中に約1時間を費やして散水を施した挙げ句、知らない間に夕立に見舞われていたのだから。

それより何より腹が立ったのは、午後7時過ぎの帰宅直後に宿敵の母から賜った次の一言。「あんた、ひょっとして今日、水ば撒いてきたろ。あたしなんか、日頃の行いの良かけん、今日は撒かんで良かった。やっぱ、天の神様は人間ばよう見とらす!」。

勝ち誇ったような満面の笑みを浮かべて、筆者の努力を嘲笑うかのように揶揄(やゆ)されたものだから、カチンと来ないはずがない。おまけにビールを飲もうと思って冷蔵庫を開けた途端、「ダメダメ、今から出かけるけん、運転手ばしてくれんね」。

「チ、チクショー、このクソババアめが」と思ったが、そこが婿養子の辛さ…。反射的に笑顔をなして「わかりましたお母様、ビールは帰ってきてからにしましょうね…」と、ことさら〃柔らかめ〃に冷蔵庫のドアを閉めた。

前置きが長くなってしまったが、事務所前の植込みの1本が折からの〃熱中症〃でこのところ元気がない。つい数日前に気付いたのだが、常緑樹なのに葉の部分が所々黄色くなって落ち始めているのだ。

実は、昨夕も「このままじゃいかん!」とばかりに、慌てふためいて大量の水かけを行ったところだった。すなわち、黄色い葉っぱは〃命乞い〃をするその木が発した〃黄信号〃だったのだ。

〈樹木は無口だから、何も物は言わない。でもね、危機を感じたら何らかの素振りを見せるんだ。葉っぱを落とすということは、幹本体を守ろうという〃防衛本能〃なんだよ〉

何年か前に、別の木が枯れかかった時に、宮本秀利さん(宮本造園社長)から教わった言葉だ。その時は「なるほどな!」と思っていたが、目先の仕事の忙しさにかまけて、ついついおざなりな世話しか出来ないでいた我が身を恥じる。

こうなったらとにかく〃命の水〃を掛け続けるしかない。何年か前に比べたら、まだ〃症状〃は進んでいないようだ。

夕立前に水を撒くことの〃愚挙〃を、再び母にからかわれるかも知れないが、ここは一つ〃馬鹿〃に徹して続けるしかない。赤とんぼも飛び始めた。実りの秋も、もうそこまで来ている。ファイト!!