眉山は九ちゃんの横顔…JAL御巣鷹山事故から26年
聞いた話だが、有明町など北側から見た「眉山」の形状は、不慮の飛行機事故で亡くなった、歌手の坂本九さん(愛称・九ちゃん)に似ている、という。
1985年(昭和60)8月12日午後6時56分、東京発大阪行きの日本航空123便ジャンボジェット機は、群馬県御巣(おす)鷹山(たかやま)に墜落した。
同機には乗員・乗客合わせて524人が乗っており、うち520人が死亡した。まさに、我が国航空事故史上、最悪・最大級の惨事であった。
多くのビジネス客が集中する夕刻の時間帯に加えて、盆前の帰省ラッシュが重なったことが悲劇の輪を膨らませた、と言われている。
当時、筆者が勤務していた旅行代理店の支社でも4人分のチケットを販売。直接係わってはいなかったにせよ、今でも複雑な気持ちに変わりはない。
旅行業界に籍を置いた者なら知悉(ちしつ)していることだが、盆暮れの航空チケットを手に入れるのは、余程「至難の業」である。
個々人がネットで予約できる現代と違って、昔は1月前の売出日が「勝負」だった。より分かりやすく言うなら、偽名で仮予約を入れておいて、手じまい直前に名義替えという綱渡り手法で、大事なお客様に優先配分していたのである。それが「現実」だった。
犠牲者の中には前述の坂本さんのほか、阪神タイガースやハウス食品の社長さんなど多くの著名人も含まれていた。ともあれ、あれから26年の歳月が流れたことになる。合掌。
さて、坂本さんの話に戻るが、最近になってその代表作である『上を向いて歩こう』が再び注目を集めている、というニュースを度々目にする。作詞は永六輔さん、作曲は中村八大さんで、当時「六八九トリオ」で売り出していたのは読者の皆様もご存知の通りだ。
〈上を向いて 歩こう涙が こぼれないように 思い出す 春の日 一人ぼっちの夜 上を向いて歩こう にじんだ星を かぞえて 思い出す 夏の日 一人ぼっちの夜 幸せは 雲の上に 幸せは 空の上に♪〉
昭和30年代当時、この歌はもちろん国内でも大ヒットしたのだが、『スキヤキソング』と銘打って全米のヒットチャート№1に輝いたことでも知られる。
最近になってリバイバルヒットしている理由は他でもない「東日本大震災」。発生から5カ月が経ち、なかなか立ち直りのきっかけを掴むのに難しい状況は続いているが、「とにかく元気を出して行こう!」ということのようだ。
今朝たまたま早起きしたのと同時に、今日が8月12日であることに気付いて、とにかく有明町まで車を飛ばした。
ただ、お目当ての「眉山」(中腹部分)には、薄っすらと雲がたなびいていた。2万余の犠牲者を悼む坂本さんの頬を伝う涙なのだろうか…。
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