2011/09/21

変化時に大切なもの…夢・希望・プリンシプル…

些か書く時期を逸してしまったが、今月上旬に熊本市内のホテルで開かれた「九州創発塾」(九州7県の新聞社主催)のセミナーは誠にもって面白かった。

筆者も約350人の出席者にまじって熱心に聴講させていただいたのだが、昨夜パソコンに発言要旨をまとめていたら、400字詰め原稿用紙にして20枚を遥かに超えていた。

多くの著名な講師陣の中でも一番聴きたかったのは脳科学者の茂木健一郎さんの話だった。NHKでやっていた『プロフェッショナル』という番組も大好きだったし、著作も何冊か読んでいたからだ。

紙幅の都合上、その全てを紹介するわけにはいかないのでかいつまんでの話になってしまうが、少しでも読者の皆さんの生き方の参考になれば、と思う。

茂木さんの母親は小倉の出身で、子どもの頃にはよく訪れていた、という。そのため、九州には他の地域と異なる、格別の「思い入れ」があるそうだ。

茂木さんが最初に口にしたのは〃郷土愛〃について。「これはもうどうしようもないんですね。貧しかろうが、災害に遭っていようが、人間はみんな生まれた所が大好きで、離れたくない、と思うんですよ」

その上で、大会のタイトルである「創発」(エマージェンス)という言葉の意味を、脳科学者の立場から「今までにない自分に生まれ変わること」と説いた。

例として取り上げたのが14歳の頃の〃自分〃。「皆さん、あの頃のことを思い出してみて下さい。少年少女から大人に変化していたあの当時を」

そこで突然、心理学者で文化庁長官だった河合隼雄さんのエピソードが出てきた。それは河合さんがロミオとジュリエットの舞台裏で急に泣きじゃくったという話。

一瞬、何を言っているのか解かりかねたが、要するに、シェークスピアが描いたあの純愛物語の主役2人の年齢は互いに14歳だったのだそうだ。

職業柄、色んな少年少女のカウンセラーをしていた河合さんは、その多感な心情を慮る余り、涙腺が緩んでしまったのだ、と。

素晴らしい話だと思いませんか、皆さん。それとももうそんな〃感性〃はどこかに置き忘れてしまいましたか?

14歳と言えば中学2年生。確かに茂木さんが言うように、大人になりかけの半端な頃合いで、価値観や秩序もザワザワと大きく蠢きだす微妙な年齢だ。

「でも皆さん、『夢』をお持ちだったでしょう」と語りかける茂木さん。それぞれの〃過去〃を振り返ってか、一斉に静まり返る会場。

そこに向けて茂木さんが〃第一の矢〃を放った。「変わるには方向性が大事。『夢』『希望』そして白洲次郎のいう『プリンシプル』(原理原則)を忘れてはいけませんよ」と。-つづく-