2012/02/22

まずは「点」を磨け!…形式的な企画&対応ではダメ

「A列車―」の企画は九州内に留まらず、首都圏でも大きな話題となっており、近く増両・増発される見通しだという。

この話を紹介するに当たって清水氏は、新幹線という「縦軸」の集客効果に絡めて「横軸」の展開を試みた関係者の〃英断〃ぶりを高く評価して、次のように語った。

「何より企画そのものが『具体的』である。連携、商品、キャンペーン、誘導、仕掛け、イベント…全ての頭に『具体的』が付いている」

続いて、九州観光全体について―。かつて、別府~阿蘇~熊本~島原~長崎をつなぐ横断ルートやフェニックスの宮崎は、新婚旅行客のメッカであった。

日本全体で言うと、100万組ほどあったハネムーン客の実に7~8割が九州を訪れていたと言うから、まさに〃今昔の感〃しきりである。

ただし、一旦は市場から見放された感すらする九州エリアだが、一部に見直しの動きが出始めている、とも。続々と定年を迎えている団塊の世代層の動向がそれだ。

神戸商工会議所の調べでは、かつて新婚旅行時に乗った「関西汽船」による瀬戸内海クルーズの復活を望む声が徐々に高まってきている、という。

話は脱線するが、後のパネルディスカッションでも別府市長の浜田博氏がこの動きについて言及。「リバイバル修旅&ハネムーンで昨年、別府国際観光港を利用した客は600組もあった」と期待をにじませた。

閑話休題。清水氏によると、横軸観光の典型的な成功事例はヨーロッパの「ロマンティック街道」だという。ルートはドイツのヴュルツブルク~フッセンまでの366キロ。

中でも、日本人観光客の一番人気はローテンブルク。年間何十万人もの日本人が訪れるこの街では、銘板への記名と引換えに、城壁の復元基金に寄付をする人も多い、という。

元JTBの商品プランナーとしての経験を持つ清水氏は、日本版のロマンティック街道が出来ないものか、と今でも考え続けており、その候補の1つが「九州横軸」ライン。

実現のためのポイントとして氏が取り上げたのが「点」から「線」そして「面」への複合展開。まずはその土地が持っている「固有の魅力」(点)をしっかりと磨く。

その上で「点」と「点」とをつないで「線」とし、さらに広げていって「面」まで昇華していく。取り組むに当たって大切なのは「形式化しない」こと。

熊本観光を例にとれば、熊本城だけではダメ。「昼&夜メニュー」の二本立てで、宿泊させるようにすること。

現在、熊本市内には「まち咲案内人」といガイド制度があるそうで、辛子レンコンや肥後象嵌(ぞうがん)作りなど、住民と一緒になって楽しむ企画が人気だそうだ。

-つづく-