2012/02/23

マイカー利用が減る!?…「横軸強化」は防災面でも

最近の日本版ロマンティック街道としては、秋田・能代と青森・南津軽を結ぶ「五能線」が人気だそうだが、日本における最大の成功事例は何と言っても「四国八十八ヶ所巡り」だ、と。

この歴史ある我が国最大級の〃巡礼の旅〃は外国人の間でもジワジワと関心が高まっているそうで、清水氏は先日、オランダ人一行の面倒を見た、という。

確かに言われてみて改めてそう思うが、「四国―」はそれぞれの「点」を磨いて「線」とし、見事なまでの「面展開」にまで漕ぎ着けている。仕上げの高野山参拝も含めて、物語性も十分だ。

氏は自治体ごとに観光パンフレットを製作している〃愚〃を重ねるな、とも警鐘を鳴らす。そういう企画こそ「面展開」でいくべきだ、と。

一方で、とても印象に残る旅行業界の最新トレンドについてのお話も伺った。ある意味、ショックも受けた。

身近な事例で恐縮だが、島原鉄道が南線を廃止した最大の理由はマイカーの普及によって利用者の減少に歯止めがかからない、というものだった。

ところが、清水氏によれば、最近はマイカーやバス以外の交通手段による移動が若い女性層を中心に増えてきているのだそうだ。

データによれば、全体ではまだマイカーが50%を占め、次いでバス(15%)、列車(12%)となっている。ただし、未婚女性の友人旅行で見ると、列車が26%とマイカー(27%)に肉薄している。

これは何を意味するのか?少し前に、若者の間でクルマ離れの傾向が続いているというニュースがあったが、それとも関連しているのか…。

清水説によれば、こうした「マイカー→公共交通機関」への乗り換え傾向は、地球環境の問題とも相まってさらに進んでいく、という。

講演の最後に氏が取り上げたのは、やはり「東日本大震災」絡みの話。事ここに至って、筆者が数日前にコミュニティFM業界の会議で聞いた話と寸分違わず〃合致〃していたので思わず身震いしてしまった。

まさに同フォーラムのメーンテーマである「横軸連携」の必要性がガソリンの調達問題と合わせて、奇しくも全く同じ表現で語られたからだ。

実例として取り上げられたのが、福島県いわき市四倉町に店を構える「道の駅よつくら港」。講師は「会津の絆」という表現で、その存在価値を語った。

ここの店では普段から、近隣の市町村などで暮らす人々と心温まる交流を続けてきており、地震災害という〃異常時〃の中でそのネットワークが大いに役立ったのだそうだ。

最後に清水教授は力を込めてこう締め括った。「普段から横軸の連携を強化しておけば、イザという時、必ず大きな力になる!」。

-つづく-