2012/03/18

松尾&田実と鴎(かもめ)鳥(どり)…ドブネズミ釣った姫田さん

〈ハーバーライトが朝日にかわる そのとき一羽の かもめが翔んだ♪〉。若かりし頃の渡辺真知子さんが伸びやかな歌声を披露してから早くも30年以上が経過する。

確かあの作品は失恋した〃乙女心〃を切なく歌い上げたものだったが、どうもこの方々の話を聞いていると、鴎(かもめ)はそんなに軟(やわ)な鳥ではないらしい。

【証言その1】松尾印刷社長にして島原商工会議所環境委員長を務めている松尾錦二さん。以前キス釣りに出かけた際に、もろ沖のカモメを釣り上げた。→「いやぁー、引きが強いのなんのって、こちらが魂消(たまげ)るくらい。やっとのことで手繰り寄せ、針を外してやったが、ビックリするくらい首が伸びてきて気持ちが悪かった」

これには〃後日談〃があって、悪友の藤元正博さん(藤元工務店社長)が「それ以来、錦ちゃんの顔ば見っと、カモメん連中は一斉に逃ぐっとげな」と吹聴して回っているらしい。

【証言その2】九州電力島原営業所長の田実貞昭さん。松尾さんの場合と違って、投げた釣り糸にカモメが絡まって往生した話。→「可哀そうな矢(や)鴨(がも)の例もあったので、何とか外してあげたかったのだが、途中で糸が切れてしまって…」と、いまだに申し訳なさそうな口ぶり。

【証言その3・番外編】松尾さんが語る。「オイたちゃまだ良か。姫松屋の英ちゃん(姫田英治社長)な、こがん太かドブネズミば釣り上げたっじゃるけん!」と身ぶり手ぶり。

何を狙っていたのか知らないが、思いっ切り遠くまで釣り糸を投げようと本格モーションに入ろうとしたその瞬間、後ろにいたドブネズミの野郎が釣り針ごと餌をガブリ!

「さぞかし重かっただろうな…」と推測するしかないが、やはり姫田さんは〃何か〃持っている。でないと、幾度もホールインワンは出来ないだろう。

そんな馬鹿話(失礼!)を交わしながら帰りの船中を過ごしてきたのだが、ふと窓越しに海を眺めると、カモメの群れが船のスピードに合わせて随行中だ。その様はまさに〃縦横無尽〃。さっと上昇したかと思うと、次には海面すれすれの低空飛行。凪(なぎ)の有明海は鏡のようにその姿を映し出している。

ややもすると環境問題は、政治や思想絡みの難しいテーマとして取り上げられがちだが、畢竟(ひっきょう)、そこに暮らす人々の心の持ち様である。「美しい古里であってほしい」と願い、その思いを実践すれば美しくもなるし、逆なら〃破壊〃への道をたどる。

「月影の いたらぬ里は なけれども ながむる人の 心にぞすむ」(法然上人)

-おわり-