トマトの意外な効用…小田さんのロマン〝結実〟
長崎市内に住む古い友人から昨日、見た目にも美味しそうな瑞々しい枇杷(びわ)が贈られてきた。この季節、毎年のことで、恐縮の限りだ。
時に、枇杷と言えば、長崎県の専売特許とばかり思い込んでいたが、他にも産地があることを、先日の上京の折に初めて知った。
場所は東京駅・八重洲口地下のショッピングモール。著名な高級果物店の陳列棚に「房州びわ」のブランドで売られていた。本県産のものよりやや丸みを帯びた大ぶりの実で、どちらかと言うと「杏」(あんず)に似た形をしていた。
値札を見ると、一箱に10個ほど入って8千円。宮崎県産のマンゴーと同じだったが、こちらは1個詰めだから、より〝高級品〟の扱いということだろう。
東国原前知事による派手なPR活動ですっかり有名になった「宮崎マンゴー」については今さら説明も要すまいが、房州の地(千葉県)にも、よもや枇杷があったとは…。
しかも、ネットで調べてみると、明治の御代より皇室へ献上している、とのこと。頂戴したばかりの「茂木びわ」を前に〈長崎県もうかうかできんばい〉と思った次第。
ところで、初夏の到来とともに、トマトが美味しいシーズンとなった。そのトマトの〝効用〟について、今朝(26日付)の長崎新聞に面白い記事(共同配信)が掲載されていた。
何でも、お酒を飲む際にトマトを摂取すると、アルコールに酔いにくくなる、というのだ。詳細な解説までは踏み込んでいないが、「アサヒ」と「カゴメ」の共同研究によって実証された、という。
それなら、これから酒を飲む時はトマトを肴(さかな)にすれば、悪酔いもしなくなるし、一挙両得だ。さっそく、今夜から試してみることにするか!?
おまけに、長崎県はトマトの一大産地である。島原半島でも盛んに栽培されているし、旧産炭地対策などの一環として取り組まれた高島や大島産のトマトは特に有名だ。
先日、長崎県の総務部長や長崎プリンスホテル社長などを歴任された小田浩爾さん(島原市出身)と一杯やる機会があって、商品開発当時のお話を伺うことが出来た。
詳しくは小田さんの著書『巡り逢いし人達』(長崎人間模様)をご参照いただきたいが、要点だけ言えば、トマトやジャガイモは原産地のアンデスのような厳しい環境で育てれば、 作物本来の持つ〝滋味〟がより引き出せるというもの。
人それぞれにロマンがあるが、ただそれを実践できないまま〝店ざらし〟にしてしまうのが、悲しい哉、凡人の性(さが)。高島&大島産のトマトが絶大な人気を今も勝ち得ているニュースを耳にするにつけ、「男子の本懐」という言葉をつい、大柄な小田さんの姿とダブらせてしまうのである。
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