2012/06/09

CDより豆腐の時代!?…〝一億総白痴化〟ここに実現

大島優子(おおしま・ゆうこ)で良かった!?他でもない、6日夜に明らかになった「AKB総選挙」の開票結果に関する、筆者自身の率直な感想だ。

当日はバレーボール男子のロンドンオリンピック予選 (日本vs中国)が同時間帯でともに生放送されており、どちらも気になってリモコン片手にテレビの前に釘付けだった。

比率でいけば「7:3」くらいの割合で総選挙を見ていた。まあ、どちら(誰)が勝とうとも、世の中がひっくり返る程ではないので気楽な観戦ではあったが、メディア戦略の在りようを考える上では、ある意味〝有意義〟ではなかったか、と思う。

ところで、バレーボール中継はいつ頃からこんなに〝ショーアップ〟されるようになったのだろう…。各局ご自慢の女子アナはもちろんのこと、ジャニーズ事務所の面々も随所で顔出しして、何の面白味もないコメントを述べる。

〈こんなのは真のスポーツ実況ではない〉と、内心腹立たしい気分で画面を眺めていたのだが、やはり日本チームが勝ったら嬉しいし、それぞれの業界が抱える〝事情〟もあるのだろう。

一方、総選挙の方について言えば、これはもう完全なる主催者側の〝仕掛け〟に他ならない。かつて評論家の大宅壮一さんがテレビ時代を先取りして「一億総白痴化」と揶揄(やゆ)したそうだが、まさしくもってその予言通りの現象がいま目の前で繰り広げられている。

各種IT機器によるネット配信が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)する中で、我が国の音楽業界はかつてない〝不況〟だ、と某作曲家から聞いたことがある。氏は「CDの売上げは豆腐に負けているかも…」と嘆かれていた。

全国的に一体どれほど豆腐が消費されているのか知る由もないが、芸能界の派手さの陰に隠れた〝実態〟が垣間見える例え話としては、秀逸だと思った。

そんな中で、投票用紙に代わってCDを買わせると言う新手の手法を編み出した人物はとてつもない〝知恵者〟に違いない。ただ、それに唯々諾々(いいだくだく)と乗っかってしまう〝国民〟も果ていかがなものだろう。

かく言う筆者も楽しんでいる側の一人であるから、大きなことは言えないが、一方で〝虚しさ〟を感じていることも事実だ。

上京の折には、取引先の企業が秋葉原駅前にあるので、必然的にあの突拍子もないいでたちをした女の子を見かけたりもするが、よもやここまで世の注目を集めるとは…。

一説によれば、本当の〝仕掛け人〟は別に控えているとも聞く。だが、ウラの取りようがないので、ここでは何とも申し上げようがない。

冒頭の発言は、翌日のスポーツ紙に取り上げられた〝当選64傑〟の一覧表と写真を見比べながら改めて抱いた印象だ。もっと直截に言うなら、トップが前年の「前田敦子」に続く「子」の付く名前だっただけでも少し安心した!?