2012/06/03

急にイップスに陥る…少しの異変で機能不全に

こういうのを何と呼んだらいいのだろう…。本当に、はたと書けなくなってしまったのだ。

ストレスだろうか?ゴルフなどのスポーツで思い通りにプレーが出来ない心理状態のことを「イップス」と言うらしいが、それに近いのかも知れない。

症状は週末の福岡出張の折に、突然やってきた。携帯用パソコンは持参していたものの、肝心要の電源コードがどうしても見つからなかったのだ。

仕方がないので、 残った電力量で何とか拙稿を仕上げようと必死に試みたのだが、少しも前へ進まない。そのうちに画面はプツンと消えた。

ならば!と今度はホテルの売店でノートを買い求めて〝手書き〟で臨んだのだが、症状は一向に改善せず、何日間も原稿を送ることが出来なかった。

以上、ここ数日間の自らの不始末を弁明するかのような書き出しになってしまったが、改めて考えてみると、このこと自体、何かしら現代的なテーマを孕(はら)んでいるような気がしないでもない。

端的に言うと、原子力発電(再稼働云々)の問題とよく似ている。パソコンという便利極まりない情報機器にいざ異変が生じてしまったら、仕事を含むすべての生活のリズムが狂ってしまいかねない…と。

先週はCATV業界をはじめとする各種の〝総会〟が県内外で開かれ、東へ南へと、連日のように飛び回った。仕上げは鹿児島市内だった。

〈義理ある人に 背を向けて 別れてきたと 君は泣く 雨がふるふる 天文館通の 青いランプに 身を寄せりゃ ああ 悲恋の旅の ドラがなる♪〉

ご存知!北海道(凾館)出身の北島三郎さんが歌って大ヒットした『薩摩の女性』の歌い出しだ。 その天文館通に昨日までいたのだが、現地では雨ならぬ灰(桜島)が降っていた。

帰途、ホテル前から市電に乗っていると、乗客の皆さんが一斉に東の空を見上げている。何だろう?」と訝る間もなく、褐色の火山灰が降りてきた。

街ゆく人々(特に女性)は一斉に日傘をさし、足早に建物の中へと掛け込んでいく。 たまたま日付が月替わりの6月1日だったので、ふと21年前の普賢岳噴火災害当時の状況を思い浮かべていた。

鹿児島中央駅から熊本駅までは新幹線で約1時間。ホテルサービスの南日本新聞のページをめくりながら車中の時間を過ごしているうちに、定刻通りに到着した。

駅前からタクシーを拾った。「お客さん、どちらから?」。人なつこい笑顔の運転手さんが尋ねてきた。

「鹿児島から島原へ帰っているところです」。「そうですか、島原も一時期は大変でしたよね。私らも随分と灰まみれになりまたよ」。お互いに〝悲恋〟ならぬ〝試練〟の旅が続く。