幻の「カレーシュー」……鮨屋に香水は禁物ですぞ
《声はすれども姿は見えず ほんにお前は屁(へ)のような》―。たしか、そんな都々逸(どどいつ)があったかのように思う。それにつけても今や、「香り(消臭)ビジネス真っ盛り」の様相である。
具体的な商品名を挙げて恐縮だが、P&G社が出している「ファブリーズ」というお部屋(最近では車内用も)の消臭・芳香剤を筆頭に、日常生活のありとあらゆる局面で、その〝効用〟が叫ばれているようだ。
そもそも不思議でならないのは、テレビCMなどで繰り返し訴えられているほど、現代日本人の腋下(えきか)は臭いものなのか?もっとも、筆者自身が他人様のそれを真剣に嗅いだ経験もないが…。
察するところこれは、身の回りのサニタリーグッズを販売している関連企業群のビジネス戦略に他ならない。そこに、〝右へならえ〟が大好きな日本人が、まんまとハメられているという、いつもの〝構図〟であろう。
オジサン連中もまた〝いいカモ〟のようだ。「加齢臭」という耳慣れない言葉でもって〝不安感〟を煽られて、1個何千円もする「柿渋石鹸」を買わされた人も多いのでは?
話は脱線するが、「そんな〝風潮〟を逆手にとって新規商品を開発したら?」という提案を過日、島原市内の某老舗菓子店に持ちかけたことがある。
何のことはない、「加齢」と「カレー(味)」を引っ掛けて、「シュークリーム」を作ったらどうか?という他愛もない話だ。
お店の人も最初のうちは熱心に話を聞いてくれていたのだが、そのうちに顔をしかめて「名前からして臭そうだし、とても売れそうにもない!」ということであえなく打ち切りとなった。
筆者の思惑では「オヤジ層を中心に〝遊び心〟で売れる」と踏んでいたのだが、作ろうにも〝技術〟がないので仕方がない。泣く泣くあきらめた!?
ところで、「シュークリーム」というのはふだん何気なく使っている西洋菓子の名前だが、その語源はフランス語だということをご存知か?正式には「シュー・ア・ラ・クレーム」というのだそうだ。
そのフランスの首都・パリの郊外にあるベルサイユ宮殿を観光で訪ねると、ガイドさんが決まって説明するのが「香水」にまつわるもっともらしい話。
どういうことかと言うと、共和制以前のフランスの王侯貴族は何週間も風呂に入る習慣がなかったそうだ。そのため〝体臭隠し〟としての香水が普及していったということだ。
まあ、真偽の程はさておくとして(恐らく本当だろうが…)、梅雨空の鬱陶しいシーズンに、香水の匂いプンプンというのは余程考えものである。
これが鮨屋なんぞで出会った日には最悪だ。まだ、時間が経てば消えてしまう〝屁〟の方がましだと思うのは、筆者一人ではあるまい。いかがだろう?
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