2012/09/07

包み隠せぬ我が欲望…努めて平静を装ったが…

ほうとう・・・・」と聞いて、読者の皆様方は何を連想されるだろうか?宗教的な意味合いでいくと、まずは「宝塔」あたりだろうが、それよりむしろ「(伝家の)宝刀」の方が早いか?

いやいや「放蕩(息子)」という人もいるだろうし、甲斐の国(山梨県)に行けば 「餺飩」という煮込みウドンのような郷土料理もあるそうだ。

前置きが長くなってしまったが、これから書こうとしているのは、佐賀県唐津市にある「宝当神社」のことである。

すでに雑誌等で紹介されたり、テレビなんかにも度々登場しているのでご存知の向きも多いかと思うが、筆者も先日ついに長年の〝念願〟を果たした。

唐津城おひざ元の松浦川の船着き場から渡し船に乗って10分もすると、同神社のある高島に着く。そこから路地裏を歩いて3分。目指すお社(やしろ)は拍子抜けするほど簡素な造りであった。

賽銭箱脇に表示された〝作法〟に従い、二拝・二拍手・一拝。「ここで欲を出していては、かえって神様に嫌われてしまう…」と、まずは世の中の平穏無事を祈願。

踵(きびす)を返して社務所(これまた小さく、ふっくら顔の巫女さんが二人)に立ち寄り、御守り2個を買い求めた。

予定の乗船時刻までまだしばらく時間があったので、参道沿いの土産品屋をのぞく。と、ある!ある!面白グッズの数々が―。

赤や黄、何より色合いすべてが派手。 いや〝ド派手〟。一瞬、中華街の真ん中に立ちつくしているような錯覚さえ抱く。

饅頭にアラレ、神棚に念珠…と手当たり次第にレジに持っていったら、「5千円以上になりましたので、携帯用のストラップを進呈します!」と売り子のお嬢さん。

〈ちょっと買い過ぎたか…〉などといささか反省しながら店を出た先に、今度は「宝くじ売り場」があった。

ここでも一瞬迷ったが思い切って〝2万円〟分を買うことに。「スッ、スイマセン〝当たりくじ〟を下さい」と駄洒落を飛ばしながら声を掛けると、中からオバさんが威勢よく「はいよ!」。

もうこの時点で筆者の頭の中は〝欲の塊り〟と化し、一体先ほどの参拝時の澄み切った心境は何処へ行ったのだ、と反省することもしきり。

まだ時間があったので喫茶店(オープンカフェ)で一服。注文すると、店主と思しきオバさんが「どこから来た?」と聞くので「島原から」と答えた。

と、脇を通り抜ける50歳前後の男性が一人。「あの人がこの〝宝当ブーム〟の仕掛け人ですよ」と教えてくれた。

昔からある地名(神社名)をヒントに、見事掘り当てた地域おこしの金脈。思わずその〝慧眼ぶり〟と〝故郷愛〟に対して頭が下がった。