2012/11/08

立冬に思いつくこと…藤本義一さんの〝心意気〟

立春や立秋に関しては、「○○とは名ばかりの」とかいった但し書きが付くことが多いが、今年の立冬(7日)はなかなか言い得て妙なタイミングのようだ。

すなわち、暦の上ではこの日を境に本格的な「冬場」を迎えるわけだが、このところの朝夕の冷え込みの中に〝季節の移ろい〟を肌身で感じている方も多いことだろう。

話はさかのぼって恐縮だが、まだ炎天下の頃に、NHKニュースの中に登場する可愛らしいお天気お姉さん(気象予報士)が、夏と秋の「雲の違い」について巧いことを言っていた。

曰く―「夏場の雲はまるで大きな『岩』のようにそびえていますが、段々と秋が深まっていくと、『砂』を撒いたような形に変化していきます」と。

当たり前と言えば当たり前の説明だが、美形が言えば、より〝真実味〟を増して響いてくるから不思議なものだ。

さてさて、季節的には静かに幕を開けたかに思える今年の立冬だが、世の中全体は何となく落ち着きがない。浮ついている、と言った方がより適切か。

政治の世界を覗いてみれば、米国のオバマ大統領(民主党)は再選を果たしたものの、全体の得票数からすれば〝拮抗〟そのものであり、今後の舵取りに一抹の不安を残す。

「チェンジ!」に沸いた4年前のあの熱狂ぶりはどこに行ったのだろう?やはりオバマも凡庸な政治家なのか?

一方国内では、同じ名称(民主党)の文部科学大臣の言動に俄然注目が集まっている。この方はこれから迎える「冬将軍」ならぬ、かつての「闇将軍」のお嬢様だ。

その偉大なる父をして「うちのジャジャ馬だけはどうにもならん!」と嘆かしめただけあって、とてもとても〝一筋縄〟ではいかない。

先の外務大臣(自民党・小泉政権下)の時もそうだったが、「官僚何するものぞ!」の鼻息が聞こえてきそうだ。ただ、傍目に見ても「使いこなしている」風にはまったく見えないところが残念!ご愛嬌!

と言うより、ここ数日の対応ぶりを見ていると、大手マスメディアは「ちゃぶ台返し」と揶揄しているようだが、その後の展開を見れば「朝令暮改」の方がよりしっくりくるのでは?

まあ政治家に限らず、生きていれば色んなことがある。調子が良い時もあれば、どんなに頑張っても運が向いて来ない時もある。

先月30日に亡くなった作家の藤本義一さん(享年79歳)は、『徒然草』を肌身離さず愛読している、とその著書に書かれていた。

その藤本さんが生前、色紙等に好んで書いた言葉は、自身の名前をもじった「蟻一匹炎天下」だった、とか。立冬を迎えるに当たって、改めてその〝心意気〟を想う。