2013/01/11

筆者は「二つ折り」派…お札に怨念があるってか?

今のシーズン、各百貨店の紳士用品コーナーを歩くと、新規に入荷した財布や名刺入れなどが所狭しと並べられている。

客寄せのためにドラッグストアの店先に山積みされた歯ブラシなんかとは百倍強も〝値段〟が違うわけだから、そうそう簡単に買うわけにはいかない。

しつこくまとわりつく店員さん(大概は年配の女性)に冗談を飛ばしながら、まずはモノより先に値札を見る。ただ、欲しい商品は決まって高い。結局、買わずにその場を立ち去るのがいつものパターンだ。

時に、何の根拠か知らないが、この前行った売場にこんな広告コピーが貼られていた。曰く「成功する男性は長財布を持ち歩いている」と。

確かに、筆者の場合は成功者とは程遠い財政事情でもあるし、毎日持ち歩いているのはヨレヨレの二つ折りタイプだ。その意味では、正しい。

ならば!長いタイプにした方が…と迷わないでもないが、背広を着る機会はそうそう多くもないし、普段からズボンの後ポケットに無造作に突っ込んでばかりいるので、短い方がより盗まれる危険性も低い。 

といった次第で、今年も二つ折りで通すことにしている。ただし、どなたか奇特な方がおられて、プレゼントとして長財布を下さるようであれば、その限りではない!?

実は、これまでも長財布をまったく持たなかったわけではない。もうかれこれ15年以上も前のことになるが、友人の娘さんからダンヒル社製の超高級品を頂いたことがある。

堅固な造りといい、肌触りといい、すべてにおいて満足のいく出来合いで、とても気に入って持ち歩いていた。ところが、ある日のこと―。

まだ幼かった三男坊が朝から大声をあげて叫んでいる。「お父さん、トイレの中に一万円札がプカプカ浮かんでいるよ。それから黒い財布も」と。

酔眼朦朧としたまま布団から抜け出てトイレに向かうと、確かに三男坊の言う通りだ。それに、あれは私の大事なダンヒルの財布ではないか!

幸いにして、いったん水を流した後だったようなので○○○は付いていなかったが、家人をはじめ家族全員から大いに不興を買ったことを覚えている。

もちろん、財布もお金もすぐに拾い上げて洗浄は済ませたが、以来、ズボンの後ポケットから落ちやすい長財布は〝原則〟持たないことにしている。

ところで、10日付の日経新聞社会面に面白い(?)詐欺の記事が出ていた。他人の懐具合を見て、「貴方のお札には怨念がこもっている。私に預ければ浄化してあげる」などと、言葉巧みに1千万円強も取り上げたのだそうだ。

まあ、騙す方も騙す方だが、差し出す側の人間もどうかしている、と思う。