2013/03/12

復興増税10・5兆円…世界も注視する東北復興

3月11日―。この日は、何はさて置いても、2年前の「東北大震災」のことを取り上げねばならないところだが、あいにく手持ちのネタがない。いやいや1つだけあった。「復興増税」の話だ。

筆者は迂闊(うかつ)にして気付かなかったが、今年の1月分の給与から所得税に2・1%が一律に付加されていることをご存知だっただろうか?

もちろん、それは文字通り、東日本大震災からの復興に充てられるもので、向こう25年間続く。このほか、住民税に関しては、来年6月から10年間、年1千円が徴収される。

政府の目論見では、すでに昨年4月から始まっている法人税の増税分と合わせると、復興関連全体予算(19兆円)のうち、55%強に当たる10・5兆円をまかなうことになっている。

額が額なだけに庶民感覚ではピンとこないが、国民一人ひとりの税負担が東北の被災地復興に役立つということであれば、大いに結構な話ではないか!と個人的は思っている。

問題は〝使われ方〟だ。よもやそんなことはあるまいが、降って湧いたような〝復興特需〟をいいことに、一部の人間が私腹を肥やすような事態だけは厳に慎んでいただきたい。

でないと、〝国難〟とも称される未曾有の大規模災害で尊い命を失くした人々の魂は浮かばれまい。ましてや、世界中の人々の目が〝東北〟に注がれているのだ!

とにもかくにも、関係者には心して復興事業に当たってほしいと願う。と同時に、これはまた原子力エネルギーの施策も含めて、新たな日本に生まれ変われるかどうかの〝試金石〟のような気もする。

次に、1千キロ以上も離れた九州の地から、東北復興に対して出来ることは何であろうか?お金(税金、義援金)も無論〝力〟となろうが、それぞれの立場で役立てることも沢山あるのでは…。

さしずめ、筆者が今係わっている業務に関しても様々なことが考えられる。それは〝業界〟単位で取り組んだ方がより効果的なこともあろうし、視点を変えて、同等規模の自治体・企業レベルで情報交換していくのも一計かも知れない。

極めて個人的な趣向だが、筆者は「絆」という言葉の響きが余り好きでない。何となく表面を取り繕ったようで薄っぺらな感じがするし、途中でプツリと切れてしまいそうな〝危うさ〟も伴う。

それよりは地下の大動脈でつながった「同じ日本人&地球人(人類)である」と言った方が、俄然説得力がある。ただ、惜しむらくは人間は辛かった事さえよく忘れるし、その本性は愚かである。

明日をも知れなかった、20数年前の雲仙・普賢岳噴火災害時の心境に戻れば、今の東北の置かれた状況が少しはよく分かるのかも知れない。合掌。