県外で聴く“スマホ”…2年ぶりの新潟で考える
小学校時代の社会科に出ていたクイズのような話を1つ。日本で一番長い川はど~こだ?答えは信濃川(全長367キロ)。有体に言うと、長野・新潟両県をまたいでいて、上流部・千曲川(長野)と下流部・信濃川(新潟)から成る。
その河口付近(日本海に注ぐ)に架かる「万代橋」(ばんだいばし)を昨夕、歩いて往復した。幼き日の記憶では、確か昭和30年代に地震災害があったはずだと反すうしつつ歩いていたら、「高浜虚子先生 大正13年に渡る」という句碑の案内板があった。
すぐにスマホで調べてみると、「新潟地震」は昭和39年6月16日に発生していた(死者26名)。東京オリンピックのわずか数か月前という時代背景を考えれば、日本全体が震度以上の〝衝撃〟を受けたはずだ。と同時に、その復元なった橋の上に自分が立っていることの不思議さを覚えた。
新潟市内を訪ねるのはほぼ2年ぶりのこと。今回の出張は私用半分&仕事半分。昼過ぎまでに主要な用事を済ませて、その後に東京に向かう予定だ。
東京~新潟間は新幹線で約2時間。途中、高崎市(群馬)を過ぎるとほどなく「清水トンネル」に入り、しばらくは〝闇〟の時間が続く。そして、視界が一挙に開けたと思ったら、辺りは一面の〝雪景色〟。まさしくもって、文豪・川端康成先生描くところの『雪国』の世界である。
関西出身の川端先生が日本財団創設者の笹川良一さんと幼なじみだったことは先年、工藤美代子さんのノンフィクションで知ったが、最近何かで紹介されていた〝目力〟の話には思わず笑ってしまった。
それによると―。晩年、川端家に入った泥棒が家主(文豪)に見つかった。家主は何も言わない。ただ、あのギョロ目でじっと見つめるだけ。すると、泥棒は「やっぱダメですか…」と何も盗らずにスゴスゴと退散した、という。
話は逸れついでにもう1つ。やはり新潟と言えば、田中角栄・元総理(角さん)を抜きには語れまい。角さんの生まれ故郷の西山町は現在、長岡市(新潟市から新幹線で約半時間)に編入されている。筆者も一度案内されて、その生家を見学に行ったことがあるが、東京の目白御殿とは違って庶民風の造りであった。
晩年の角さんは脳梗塞か何かで倒れて体の自由が利かなくなった。その時、世話係として雇われたのが、同じ新潟出身の元関取だったとか。こちらの話はノンフィクションライターの佐野眞一さんが紹介している。
飛行機、モノレール、電車等に揺られて旅をしていると、何の脈絡もないような〝よしなしごと〟が次々と浮かんでくる。ふと、愛用のスマホを胸ポケットの中から取り出す。アプリを開けば、「FMしまばら」の放送が何事もなかったかのように聞こえてくる。これって案外スゴイことではないだろうか…。
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