2013/06/01

矢野さん大いに語る④…日本の強さは四季のおかげ

これまでお話してきたように、私の口演のテーマはすべて、「日常」に根差したものばかりです。

先日、ある中国人の方からこんな質問を受けました。「日本にはほとんど貧富の差が無いようだが、ひょっとして共産主義の国か?」と。

確かに、通りを見れば、軽自動車も多いけど、何百万円もするような高級車も数多く走っています。私は軽に乗っていますが、大型車を追い抜くことも度々です。これが「日本の日常」なのでしょうけど…。

そんな中、ふと立ち止まって考えていることがあります。一昔前までは「男社会」と言うか、「筋肉文化」だったものが、段々と「(男女の)分業社会」、すなわち「頭脳文化」に変わってきているんじゃないか、と。

料理なんかが、もうすでにその〝領域〟ですね。女性はもちろんですが、最近は男性も普通に台所に立つようになりました。

とても良いことだと思います。ただし、我が家においてはまだまだ嫁さんが実権を握っていて、この前なんかは、床に落としたコロッケをしれ~っと私の皿に盛っておりました。

このほか「分業」と言う意味では私も〝頼り〟にされているようです。「お父さん、お父さんがおらんと困るとよ!」と言われて感激していたら、「生ゴミの運び手」の話でした。

話は俄然、外国に飛躍します。クイズです。オーストラリア北部の常夏の地では、多くの種類の花が咲いているのに、蜂蜜の採取量が少ないのは何故か?

答えは「冬がないから」。働き者と見られているミツバチも他の生き物と同じで、「いつでも蜜が吸える」という恵まれ過ぎた環境では、積極的に働こうとしないのだそうです。

さて、そろそろ本題でもある「日本人の底力」について話したい、と思います。英語学者で評論家の渡辺昇一さんが同名の本を出されていますが、明治時代、あの〝無敵〟と言われたロシアのバルチック艦隊を初めて破ったのは、我が日本(帝国海軍)です。

渡辺さんは「四季があるから日本人は強い」と書かれています。また、「冬が来るので、それに備えて色々と準備をする。言うなれば、これが老後に備えた貯蓄のようなものだ」とも。

それから「教育」。日本には昔から、庶民向けに「寺子屋」があったし、武門の人々は「藩校」に通って、厳しい姿勢で学問に励んでいました。その点、「ゆとり教育」はまったくいただけないですね。

最後に「災害」です。日本ほど火山の多い国はありません。世界の4分の1の活火山が日本に集中していますし、桜島山は昨年93回も噴火しています。

日本人は自然災害に対して、決して文句は言いません。「しょうがない…」と冷静に受け止めて、「悟り」に近い心境でいるのではないでしょうか。
-つづく-