新聞との連携を図る…大船渡市の臨時災害FM局
柄にもなく、今日は少し真面目なことを書いてみたい。より直截に言うなら、「防災」「減災」に係わる話である。
一昨年3月11日に発生した「東日本大震災」をきっかけに、日本全体でその機運が高まっていることは言うまでもない。かてて加えて、近い将来、西日本の広範囲で甚大な被害が想定されている「南海トラフ」の脅威である。
そんな中で開かれた「臨時災害放送局セミナー」(12日、総務省九州総合通信局主催)で耳にした講師や参加者の言葉が忘れられない。
岩手県大船渡市の佐藤健さん(講師の一人)は大震災前までは、同市内で整体業を営むごく普通の市民だった。その人がいま、「特定非営利法人絆プロジェクト三陸理事長」といういかめしい肩書きで、津波の恐怖を赤裸々に語った。
「九州には初めてやって来たが、ここ宮崎市の印象は率直に言って、極めて危険である。怖い。すぐ近くに海があって、街中を縫うように大きな川が流れている。もし地震とともに津波が発生したら…」。
佐藤さんは「論より証拠」とばかりに、建物という建物が根こそぎ波に浚われてゆくショッキングな映像を流し続けた。その中に自分の家が含まれていることも含めて。
時間にして15分ほど続いたであろうか。「あああっ…」「もう止めてくれ~っ!」。時おり入ってくる、カメラが拾った被災住民の絶叫口調に、会場の誰もが息をのみこんだ。
佐藤さんは静かに語り始めた。「防災行政無線が停電で使えない状況の中で、臨時災害放送局を立ち上げた。スタッフは市民2人と大学生が1人。「おおふなとさいがいFM」。周波数は78・5メガヘルツ。
配布資料に目を通しているうちに、「新聞記事との連携(東海新報社)」というタイトルが目に飛び込んできた。さらに読み進めていくと―。
隣接する陸前高田市のFM局(コミュニティ)とも連動しながら、さらに県紙の岩手日報から寄せられる地元情報も合わせて、1日10時間の生放送を流し続けた。
問題点として提起されたのは行政との連携。前例の有無にこだわる姿勢に嫌気がさしつつも粘り強く放送を続け、機器類の電源確保では国交省や自衛隊に助けてもらった、という。
佐藤さんは最後に「災害について」と題してポイントをこうまとめた。①想定内はない②減災に一番役立つのは地域コミュニティ③小さな集落ほどまとまりがあり、協力し合った④誰に何を提供できるか⑤得意分野を最大限に生かす⑥無くて幸いでも準備は必要⑦常日頃から情報収集・発信を心がけ有事の際に活用する。
翻って我が生業。新聞にテレビにラジオ。さらにはスマホにタブレット。方向性は間違っていない。頑張らねば! -つづく-
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