「大仏さまの顔は…」…今が夏山のベストシーズン
夏の高校野球甲子園大会県予選(1・2回戦)の中継のために、本欄を明け渡してはや10日余り。すっかり歌を忘れたカナリア状態と相成っているが、その間に、例年より遥かに早い梅雨明け宣言もなされた(8日付)。
若い頃ヨーロッパにいて登山全般に詳しい松本仏壇店の松本正弘社長によれば、「梅雨明け後約2週間が夏山のベストシーズンだ」という。確かにここ数日の天候の安定ぶりを見ると、頷けるご指摘である。
その梅雨明け後の過日、所用があって百花台~裏雲仙~温泉街のルートを辿って小浜まで出かけた。仕事を終えてからの出発だったので、時刻は6時を回っていた、と想う。
車窓からではあったが、そこで見た青空と木々の緑のコントラストが鮮やかな〝光景〟に、心からの〝感動〟を覚えたのも事実である。松本社長が仰っていたのはこういうことだったのか!なんと雲仙の山々は美しいのだろう!
一方、海側に視線を移すと、夏独特のエネルギッシュな太陽の光が波静かな海面を煌々と照らしていた。そのまま裸眼で見るには余りに眩し過ぎたので、サングラスを取り出して、しばし〝観賞〟に耽った。
今さら言うまでもない話であろうが、人間が自然に敵(かな)うはずもないのに、人類はそれをそのまま〝是〟とせず、様々に趣向を凝らし、敢然と挑み続けては、手痛い(時には絶望的な)しっぺ返しをくらってきた。
歴史というのはそうした愚かな行為(?)の積み重ねに他ならないし、同時にまた、人類全般に課せられた〝業〟のようなものではなかろうか…。
人は悩むが、自然は悩んだりなんかしない。地中にマグマが溜まり過ぎれば、人様の事情など一切お構いなく一気に爆発する。誤解を恐れずに言えば、噴火や津波などはたまたま表出した〝現象〟でしかない。
もうあと10分ほどで小浜の街に着こうかという所に、宅島壽雄さん(県商工会連合会長)が丹精込めて整備を進めている「祈りの里」がある。一旦は通り過ぎたのだが、改めて「雲仙大仏」を拝むために引き返した。
写真はその際にスマホで撮った一枚。脇の案内板にはこう記されていた。「大仏さまの顔はかなしみに耐えた顔である くるしみに耐えた顔である 人の世の様々な批判にじっと耐えた顔である…(後略)」と。
様々瑣事に頭を悩ませていた自分が急に恥ずかしくなってしまった。
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