2013/07/03

テレビ版『フジ三太郎』…ハゲ始めはいつごろから?

〝思い込み〟とはコワイもの!旧大倉財閥の創始者として知られる大倉喜八郎翁が晩年に登った山はてっきり「富士山」とばかり思っていたが、間違いだった。正しくは南アルプスの赤石岳(3120㍍)。

大正15年8月。翁の年齢は88歳。後に間組の社長となる神部満之助の案内で、総勢200名ものお供を伴って駕籠に担がれエッサッサ。「自分の所有地の一番高いところに登りたい」との〝語録〟が残っている。

さて、富士山。日本人である以上、一度は是非登ってみたい山だが、なかなかご縁がない。五合目までは観光ツアーで何度か行ったことはあるのだが…。

時に「ふじさん」という語呂のいい名前で思い出したが、かつて朝日新聞に「フジ三太郎」という人気の4コマ漫画が連載されていた。作者はサトウサンペイさん。

と、ここまでは朝日の読者を長年続けてこられた方ならよくご存知だろう。では、同名のテレビドラマの方はいかがだろう…?

妙なクセだが、筆者はこの手の話はよく覚えている。坂本九さんと、今を時めく《夏バッパ》こと宮本信子さんが〝夫婦役〟で出ていた。

残念ながら、坂本さんは昭和60年8月の日航機墜落事故で亡くなってしまった(享年43歳)が、宮本さんのその後の女優としての活躍ぶりは目覚ましい限りだ。

宮本さんの亡きご主人は映画監督の伊丹十三さん(享年64歳)であることは有名な話だが、この方が何ともユニークな本を遺されている。

『小説より奇なり』というタイトルで、版元は文芸春秋。実を言うと、いつか紹介する機会もあろうかと、FMパーソナリティの「しゅんちゃん」から借りっぱなしになっているイワクの一冊だ。

最初の1ページ目から抱腹絶倒する、超傑作な〝面白本〟だが、しゅんちゃん一押しは「衝撃の告白!!大特集●危機一髪」のコーナー。そこにはこう、〝前ふり〟されている。

《何故毛が脱けるか?名士十人の脱毛の告白は若き人々が転ばぬ先の杖に是非読んで頂き度う存じます》―で、登場されているのが次の方々(十人以上・敬称略)。いずれも〝名士〟の呼び名に相応しい大物ぞろいだ。

井伏鱒二、飯沢匡、加藤芳郎、石川達三、岡本太郎、羽仁五郎、吉行淳之介、岡部冬彦、柳原良平、邱永漢、星新一、野坂昭如の面々。

普通に考えれば、「いつごろからハゲ始めたか?」などと訊かれたら、怒り出すところだろうが、さすがに〝大人〟は違う。それぞれ丁寧に受け答えされているところに、かえって新鮮な驚きを覚える。

ともあれ、これから本格的な夏山シーズン(富士山は1日が山開き)。どうぞ、お毛が(≒怪我)なされぬように!